約 768,836 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5289.html
~朝比奈宅・夜~ prrrprrr ピッ みくる「はい、あさひn」 鶴屋「みっくる~!!」 みくる「ひゃっ!つ、鶴屋さんですかぁ?」 鶴屋「そうさ!鶴屋ちゃんさ!」 みくる「聞こえてますから、あんまり大きな声出さないで下さいよぉ」 鶴屋「ん?そうだね、ごめんよ」 みくる「もう、驚いちゃいましたよ?」 鶴屋「あはは」 みくる「それで何のようですかぁ?」 鶴屋「可愛いみくるが暇してないかなぁ、と思ったんだよ」 みくる「ふふ、なんですかそれ?」 鶴屋「それとも男でも連れ込んでる最中だったかい?」 みくる「お、お、お、男の子なんていませんよぉ~!」 鶴屋「冗談だよ冗談!全くみくるはいいリアクションしてくれて助かるよ~」 みくる「ひどいですよぉ」 鶴屋「ところで何やってたんだい?」 みくる「いまさっきお風呂からあがったんで、髪を梳かしているとこですよ」 鶴屋「おや、奇遇だね?あたしもさ」 みくる「そうだったんですかぁ」 鶴屋「もしかしてみくるは、もうおねむの時間だったりするのかな?」 みくる「まだ大丈夫ですよ」 鶴屋「ならいいっさ!たまには長電話でもしようよ!」 みくる「いいですよぉ」 鶴屋「じゃあ何話そっか?」 みくる「う~ん、毎日会ってると話題も減ってきちゃいますね」 鶴屋「……そうか。みくるはあたしとなんて話すことなんてないんだね」 みくる「な、なんでそうなるんですかぁ」 鶴屋「まぁいいや。あたし今TV見てるんだけどさ」 みくる「TVですかぁ?」 鶴屋「そっ。○チャン点けて?」 みくる「○チャンですかぁ?」 鶴屋「うん」 みくる「点けましたよ……って、もう鶴屋さん!!」 鶴屋「ん~?何々?何やってたの~?」 みくる「お、男の人と女の人がその……」 鶴屋「その?」 みくる「……鶴屋さん、い、言えませんよぉ~」 鶴屋「えー。でもいいや。今みくるがどんな顔をしてるか、想像できるし」 みくる「もう」 鶴屋「実はまだ見てたりして」 みくる「もう消しました!」 鶴屋「あはは」 みくる「あっ、鶴屋さんは今日の数学の宿題終りましたか?」 鶴屋「そんなのとっくに学校で済ませてるよ!」 みくる「そうだったんですかぁ、早いですねぇ」 鶴屋「だって簡単だったし」 みくる「そ、そうでしたっけ」 鶴屋「さてはみくる……全然終ってないなぁ?」 みくる「ぎくっ」 鶴屋「擬音でごまかさな~い」 みくる「だ、だって~」 鶴屋「あはは、明日の朝学校で教えたげるよ」 みくる「いいんですかぁ?」 鶴屋「それが目的で聞いたんだろ?」 みくる「え、えへへへ」 鶴屋「やれやれ」 みくる「あっ、それってキョンくんの真似ですかぁ?」 鶴屋「おっ!よくわかったね!ちゃんとポーズも真似てるよ」 みくる「ふふふ」 鶴屋「!あ、ゴメン。キャッチが入ったから少し待っててよ」 みくる「はぁい、わかりました」 みくる(誰だろ?ご両親かな?) みくる(今のうちにホットミルクをレンジで暖めておこっと) みくる「……」 みくる「……」ズズ みくる(あったか~い)ズズ 鶴屋「待たせたっさ!」 みくる「いぃえ」 鶴屋「今日の夕飯はなんだったの?」 みくる「今日はお豆腐のサラダを作りましたよ」 鶴屋「随分ヘルシーだね。そんだけ?」 みくる「はい。鶴屋さんはなんだっだんですかぁ?」 鶴屋「今夜は家にあたしだけでね、メンドイからカップ麺さ」 みくる「体に良くないですよ?」 鶴屋「たまにだからね、心配無用っさ!」 みくる「鶴屋さんってお料理したりするんですかぁ?」 鶴屋「得意だよ!って胸張れるわけじゃないけど、人並みには出来るかな~?」 みくる「そうですかぁ。何が得意なんですか?」 鶴屋「肉じゃがだよ」 みくる「へぇ~」 鶴屋「ちゃんと食べれるもの作れるから問題ないはずだよ」 みくる「じゃあ、今度二人で何かお料理しませんか?」 鶴屋「いいね!どうせならクラスの子たちも呼んで、ホームパーティーみたいにしようよ?」 みくる「いいですね、賛成です」 鶴屋「場所はみくるんちでもいいかい?」 みくる「わたしの家はちょっと~」 鶴屋「そっか……みくるは片付けられない女だったんだね……」 みくる「違います!」 鶴屋「冗談だよ~みくる~。場所はまたみんなで決めよっか?」 みくる「分かりましたぁ」 みくる「今日の体育の鶴屋さん、カッコよかったですねぇ」 鶴屋「あぁ、バスケかい?」 みくる「はい。ドリブルしてみんなをこう、ズバババッッと抜いて」 鶴屋「あっはっはっはっは!なんだいその効果音!」 みくる「えぇ~変ですかぁ?」 鶴屋「いんや、面白い」 みくる「変ってことじゃないですかぁ」 鶴屋「もっとこう、スッとかさ、サッとかさ」 みくる「う~ん」 鶴屋「まっ、可愛かったからいいや」 みくる「またそうやってからかうんですからぁ」 鶴屋「あははは」 みくる「あっ、こないだ鶴屋さんから借りた本とっても面白かったですよぉ」 ???「……」 みくる「鶴屋さん?」 ???「……」 みくる「あれ?どうしたんですか?」 ???「……」 みくる「寝ちゃったのかなぁ」 ???「……」 みくる「寝てるんだったら切りますよぉ~?」 ???「……」 みくる「……寝ちゃったんですね」 鶴屋「なにを一人でしゃべってんの?」 みくる「ふわっ!起きてたんですかぁ!」 鶴屋「ちょっと飲み物取り入ってたんっさ」 みくる「もう!一言言ってくださいよぉ」 鶴屋「言ってなかったけ?」 みくる「言ってません」 鶴屋「そうだっけ?ゴメンゴメン」 みくる「まったくもぉ~」 鶴屋「そうそう、こないだの学校帰りに、みくるが見つけたワンピースがあったろ?」 みくる「あぁ、あの薄い青色のですかぁ?」 鶴屋「そっさ。あれが今日三十パーオフで売ってたよ」 みくる「ほんとですか~!早速明日行ってみますね」 鶴屋「そうするといいよ」 みくる「鶴屋さんも一緒にどうですかぁ?」 鶴屋「行くよ!ちょっと可愛いなぁ、と思った帽子も値引きされてたっさ!」 みくる「じゃあ明日の部活の後に行きましょうよ~」 鶴屋「そうだね。なら明日の部活にお邪魔させてもらうよ!」 みくる「あっ!買い物といえば。鶴屋さん?」 鶴屋「なんだい?」 みくる「この間言ってた本は見つかったんですか?」 鶴屋「うん、ネットで注文したよ」 みくる「あったんですか。良かったですねぇ」 鶴屋「う~ん、良かったんだけど、どうせなら自分の足で探したかったね」 みくる「そうなんですか?」 鶴屋「そうっさ!いまどきネットなら何でも手に入るだろ?それをわざわざ自分で探し回るのって楽しくない?」 みくる「あぁ、それは少し分かりますぅ」 鶴屋「あの、欲しいものを見つけたときの、やった!、っていう嬉しさったらないよね!」 みくる「そうですよねぇ。そういえば古泉君も言ってました」 鶴屋「何をだい?」 みくる「古泉君って洋楽が趣味みたいで、休みの日に小さい中古のお店とか、周るの好きみたいなんですよぉ」 鶴屋「うんうん」 みくる「そういうお店には掘り出し物があるみたいで、ついつい嬉しくてたくさん買っちゃうって」 鶴屋「へぇ~。たくさんってどれくらいだろ?」 みくる「えっと~、毎月新古合わせて、二十枚前後は買ってるって言ってたかなぁ?」 鶴屋「……古泉君もとんだ好きモノなんだね」 みくる「わたしも驚きましたよぉ」 鶴屋「それは驚きだよねぇ。あたしでもすこし引いちゃうし」 みくる「ふふ。でも音楽の話をしてるときの古泉君って、目がキラキラしてるんですよぉ?」 鶴屋「あはは」 みくる「それでこの間、古泉君からCDを借りたんですけど、わたしでも聞きやすくって好きになっちゃいましたぁ」 鶴屋「古泉君を?」 みくる「ち、違いますよぉ~音楽です!」 鶴屋「あはははは、それでなんてやつ?パソコンで調べてみるよ」 みくる「はい、えっと……Fountai○s Of WayneとTah○ti 80です」 鶴屋「困った。電話だとスペルが分かんないっさ」 みくる「カタカナでもいいんじゃないんですかぁ?」 鶴屋「でかした!みくる!」 みくる「出来ました?」 鶴屋「ちょい待ち!……ふぁうんていんず、っと。出たよみくる」 みくる「はぁい」 鶴屋「なんて曲?」 みくる「わたしの好きなのは、Survi○al Car、っていう曲です」 鶴屋「サバイバルだね?」 みくる「はい」 鶴屋「あったあった、ポチッとな♪」 みくる「わたしもかけよぉ」ピッ 鶴屋「~~♪」 みくる「~~♪」 鶴屋「なっるほどねぇ♪古泉君がオススメなのも分かるよ!あたしでも好きっさ」 みくる「いいですよねぇ♪古泉君が好きになる気持ちも分かりますよぉ」 鶴屋「毎月二桁買うのは異常だけどね」 みくる「ふふふ」 鶴屋「そうだ!みくるは来週の土日どっちか空いてるかい?」 みくる「団活がなければ」 鶴屋「じゃあさ、見たい映画がやるんだよ。見に行かない?」 みくる「映画ですかぁ?」 鶴屋「そうだよ!コメディ映画なんだけど、キャストがあたしのツボなんだよ」 みくる「分かりました、いいですよぉ」 鶴屋「んじゃ、決まりっさ~」 鶴屋「みくるは最近悩み事とかないのかい?」 みくる「悩み事ですかぁ?」 鶴屋「そう!電話だから言えることとかって、あるんじゃないかな?」 みくる「う~んと、え~と……」 鶴屋「……みくるは悩みなんかないんだねぇ。うらやましいっさ」 みくる「な、悩み事くらいありますよ、ただ……」 鶴屋「?」 みくる「どうしても人には言えない悩みだって……ありますから」 鶴屋「あたしでも?」 みくる「ごめんなさい」 鶴屋「みくるが謝ることじゃないっさ。立ち入ったこと聞いてごめんよ?」 みくる「いぃえ、鶴屋さんが悪いわけじゃないですから」 鶴屋「しんみり話は置いといて次いくよ!次!」 みくる「ふふふ。はい」 鶴屋「それなら……最近一番嬉しかったことって何かな?」 みくる「嬉しかったことですかぁ?」 鶴屋「そう!楽しかった、じゃないよ?嬉しかった限定さ」 みくる「それって違うんですかぁ?」 鶴屋「違う違う!さぁ思い出すんだみくる!」 みくる「もう鶴屋さん、声大きいですってばぁ」 鶴屋「おっと、これは失敬」 みくる「嬉しかったことかぁ」 鶴屋「何かあるかい?」 みくる「あっ、ありました」 鶴屋「なんだい?」 みくる「今さっき体重計乗ったら五百グラム落ちてました♪」 鶴屋「何!?それは嬉しいね」 みくる「そうなんです!最近お菓子を我慢してたかいがありました♪」 鶴屋「それは良かったね、みくる!でも欲しかった答えではないんだよねぇ~」 みくる「でも、でも、最近一番嬉しかったことってこれくらいですよ~?」 鶴屋「……とりあえず、みくるが寂しい日々を送ってるのは、よーく分かったよ」 みくる「えぇ~!ひどいですよぉ」 鶴屋「あはは」 みくる「もぉ~、じゃあ鶴屋さんはなにかあったんですかぁ?」 鶴屋「ふふふ」 みくる「?」 鶴屋「みっくるぅ、聞いて驚くんだよぉ?」 みくる「え?なんですか?」 鶴屋「絶対、ぜぇぇぇったい驚くよ!?」 みくる「そんなにもったいぶらないでくださいよぉ」 鶴屋「では、発表します」 みくる「はい」 鶴屋「なんと」 みくる「……」ゴク 鶴屋「あたしに彼氏が出来ましたぁ~!ぶいっ!」 みくる「……。ええぇぇぇぇっ!」 鶴屋「どうだい?めがっさ驚いただろ?」 みくる「お、お、お、驚きましたよぉ~」 鶴屋「しかも相手はなんと……」 みくる「ふぇ?わたしの知ってる人なんですかぁ?」 鶴屋「ふふふ、古泉くんっさ!」 みくる「!びっくりですよぉ~」 鶴屋「くくく」 みくる「だって、だって、さっきの話でもそんな感じしてなかったですよぉ?」 鶴屋「えへへ、こないだあたしが、土曜の団活に遊びに行っただろぅ?」 みくる「はい」 鶴屋「あの帰り道で、古泉君に呼び止められてね」 みくる「ふわぁ~、そうだったんですかぁ」 鶴屋「そうだったんですよぉ~」 みくる「へぇ~、お二人が、へぇ~」 鶴屋「……く」 みくる「もう、デートとかしたんですかぁ?」 鶴屋「……くく」 みくる「鶴屋さん?」 鶴屋「……くくく、あははははは」 みくる「え?え?え?」 鶴屋「もうダメ!もうダメにょろ!あっはっはっはっはっはっは!」 みくる「つ、鶴屋さん?」 鶴屋「あっはっはっは!ふふふふふ、め、めがっさお腹痛いよ、あっはっはっはっは!」 みくる「と、突然どうしたんですかぁ~?」 鶴屋「ウソ、ウソだよみくる?あっはっはっはっはっは!ぜ~んぶウーソー」 みくる「……」 鶴屋「ひぃーひぃー、笑いすぎて苦しいよ~」 みくる「ひどいですよ!鶴屋さん!」 鶴屋「ふぅーふぅー、ご、ごめんよ。みくるの反応があまりに可愛くって。あっはっはっはっは!」 みくる「もぉ、鶴屋さんなんて知りません!」 鶴屋「え?知らないの?初めまして、鶴屋といいます」 みくる「違いますよぉ」 鶴屋「あっはっはっはっは!分かってるってば」 みくる「この間ちょうど古泉君が、彼女がいる、って言ってたから信じちゃいましたよ」 鶴屋「お!それは初耳だね」 みくる「キョンくんも知らないみたいでした」 鶴屋「でも古泉君はモテそうだし、いても不思議じゃないよね~」 みくる「そうですねぇ~」 鶴屋「そういえば最近のSOS団はどうだい?」 みくる「う~ん、少しぎこちなさがありますけど、良好ですよ」 鶴屋「ぎこちなさ?あぁ、ハルにゃんとキョンくんか」 みくる「えぇ」 鶴屋「まさかキョンくんが彼女を、しかも他校のコだろ?」 みくる「そうなんでよぉ。驚きましたぁ」 鶴屋「キョンくんも罪作りな男だね~。ハルにゃんの気持ちだって知ってただろうに」 みくる「……」 鶴屋「ん?どうしたの?」 みくる「実は……キョンくん、その、全く気付いてなかったみたいなんですよ」 鶴屋「ほ、ほんとかい!?」 みくる「はい」 鶴屋「鈍感だとは思ってたけどねぇ~」 みくる「そうですよねぇ。少しは意識してるんだと思いました」 鶴屋「まぁ、ハルにゃんがいっつもツンツンしすぎなせいもあるんだけどね」 みくる「素直になるのは難しいですから……」 鶴屋「確かにね」 みくる「はい」 鶴屋「とはいえ」 みくる「?」 鶴屋「どうやらキョンくんにはなにかしらの制裁が必要だね」 みくる「だ、ダメですよぉ~鶴屋さん」 鶴屋「だってハルにゃんが可哀そうじゃんかぁ」 みくる「それはそうですけどぉ……」 鶴屋「で、当のハルにゃんは?」 みくる「涼宮さんは……スゴイです」 鶴屋「スゴイ?」 みくる「なんていうか、その、心が強いんだなぁって。わたしなら顔を合わすのだって辛いですから」 鶴屋「そうだね。ハルにゃんはえらいなぁ」 みくる「えぇ」 鶴屋「そうにょろ!今度傷心のハルにゃん連れてどっか遊び行こうよ!」 みくる「傷心はひどいですよぉ」 鶴屋「失言失言。で、どうかなぁ?長門ちゃんも連れてさ?」 みくる「いいですね。きっと二人とも喜んでくれますよぉ」 鶴屋「今度四人で集まって行き先決めるっさ!」 みくる「わかりました」 鶴屋「長門ちゃんといえば、最近ハルにゃんとべったりだよねぇ~。なんかあったの?」 みくる「どっちかっていうと、涼宮さんが長門さんと一緒にいたがってる感じですよぉ」 鶴屋「ふ~ん……はっ!ま、まさかハルにゃん」 みくる「?」 鶴屋「……失恋のショックで、同性愛に目覚めたんじゃ……長門ちゃんがおとなしいのをいいことに」 みくる「鶴屋さん!悪ふざけが過ぎますよぉ!」 鶴屋「怒んないでよ、みくる。冗談だって冗談」 みくる「まったくぅ」 鶴屋「もしかしたら長門ちゃんがいるから、ハルにゃんも立ち直れたのかもね」 みくる「かもしれないですねぇ」 鶴屋「でもあの無口な長門ちゃんと活発なハルにゃんだろ?どんな会話すんだろね?」 みくる「さぁ、部室では普段どおり長門さんは無口ですよぉ?」 鶴屋「きっとハルにゃんはああ見えて寂しがりやなんだよ」 みくる「涼宮さんがですか?」 鶴屋「そうだよきっと。勘だけどね」 みくる「勘……」 鶴屋「で、長門ちゃんと二人のときは、誰も見たことのない弱いハルにゃんが現れると見たね」 みくる「弱い部分ですかぁ?」 鶴屋「多分ね?」 鶴屋「もしあたしが失恋したり、なんか辛いことがあったら、みくるは慰めてくれるかい?」 みくる「当たり前じゃないですかぁ」 鶴屋「ありがとっさ!」 みくる「もしかして近々そんな予定があるんですかぁ?」 鶴屋「ないない。でも人生何があるからわっかんないかんねぇ」 みくる「そうですねぇ」 鶴屋「それこそ年中告白されてるみくるは余計に、ね?」 みくる「う~ん……」 鶴屋「みくるは彼氏作んないのかい?」 みくる「今はちょっと……」 鶴屋「なんで?」 みくる「……こっちではそういうのは出来ないんです」 鶴屋「こっち?あっそうか、みくるはこの辺の人じゃなかったね」 みくる「……はい」 鶴屋「ま、まさか、地元に将来を約束している人がいるんじゃないんだろうね?」 みくる「う~ん、そういうことにしておきます」 鶴屋「あたしに隠し事とはいい度胸っさね」 みくる「そ、そんな大げさなものじゃないですよぉ~」 鶴屋「わかってるってぇ~」 みくる「そういう鶴屋さんは彼氏はいらないんですかぁ?」 鶴屋「欲しいっちゃ欲しいけど、みくるたちと遊んでる方が楽しいからべっつにいいかなぁ?」 みくる「ふふふ、鶴屋さんらしぃ」 鶴屋「そうかい?みくるほどじゃないけど、これでもあたしも少しはモテるんだよ~?」 みくる「知ってますよぉ」 鶴屋「ふ~ん……自分がモテるっていうのは否定しないんだね?」 みくる「そ、そういうわけじゃないですよぉ」 鶴屋「まっ、別にいいんだけどね~」 みくる「つ、鶴屋さ~ん」 鶴屋「ん~?」 みくる「鶴屋さんは魅力的な女の子だって意味ですからねぇ?」 鶴屋「あんがとね、みくる」 みくる「いぃえ」 鶴屋「はぁ~、もう一時半だよ」 みくる「えぇ~、じゃあもう二時間くらい話してたんですかぁ?」 鶴屋「時間がたつのは早いっさ」 みくる「そうですねぇ」 鶴屋「……」 みくる「鶴屋さん?」 鶴屋「……ミッミッミラクル♪」 みくる「!!!」 鶴屋「みっくるんるん♪」 みくる「や、やめてくださいよぉ~~!」 鶴屋「あははははは!この歌作ったハルにゃんは天才だよ」 みくる「せっかく忘れてたのにぃ~」 鶴屋「突然思い出したっさ~。みっくるんるん♪」 みくる「もう電話切ります!」 鶴屋「ご、ごめんよみくる。あぁ~お腹痛い」クスクス みくる「今日の鶴屋さんちょっといじわるですよぉ」 鶴屋「そうかい?」 みくる「そうですよぉ」 鶴屋「それじゃあそろそろ寝よっか?」 みくる「そうですねぇ。これじゃ明日遅刻しちゃいますからね」 鶴屋「だね。そんじゃみくる、また明日ね。オヤスミにょろ~」 みくる「はぁい、おやすみなさぁい」 ピッ ~Fin~
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4964.html
カプ要素 キョン×みくる うさみくる 「あ、キョン君」 あれ? 朝比奈さんじゃないですか。 昼休み、弁当を忘れて購買部の列に並んでいた俺が見たのは愛らしい上級生のお姿だった。 「もしかして、キョン君もお弁当を忘れちゃったんですか?」 もって事は、つまり。 「私もそうなんです」 それを聞いた俺は迷う事無く列から抜け出し、照れ笑いを浮かべる朝比奈さんの後ろに並びなおした。 珍しいですね、朝比奈さんがお弁当を忘れるなんて。 「えへへ。実は今日、寝坊しちゃってお弁当を作る時間がなかったの」 照れ笑いを浮かべる朝比奈さんだが、つまりいつも自分でお弁当を作ってるって事なんだろうか? 考えてみれば、俺はSOS団の中では長門の家にしか行ったことがない。とはいえ、ハルヒにも古泉にも 家族が居るんだろうと当然の様に思っていたのだが、はたして朝比奈さんはどうなんだろうか? 「? どうかしましたか」 俺の顔を、不思議そうな顔で朝比奈さんは見ている。 どうみても上級生には見えない――というか中学生に見える事もある――朝比奈さんの正体は、本人曰く ハルヒを観察する為にやってきた未来人である。 そんな事情を話せる……というか信じてくれる人が居るとは思えない。となると、まさか学校が終われば ずっと1人で生活しているんだろうか? 「キョン君、注文待ってますよ」 え? ああ、はい。 いつの間にか最前列まで来ていたらしい。 俺は残り僅かな惣菜パンの中から適当に3つ選んで、購買のレジの横に置いた。 サンドイッチ一つだけで足りるんですか? テーブルの向側でハムサンドをちまちま食べている姿を見て、思わず聞いてみた。 「……実はこの後、アイスも食べようかなって」 アイスじゃお腹は膨れないと思いますが……。 早々と惣菜パンを胃に押し込んだ俺は、ゆっくりと食事を続ける未来人さんの様子を観察する事にした。 小さなお口でもそもそとパンを食む姿を見ていると、小学校の時にクラスで飼育していたウサギの食事 を思い出す。 ――当時、小学4年生だった俺は教師に言われるままにウサギの食事当番をこなしていた。 ウサギから見れば定時にやってくる自動餌出し機でしかなかったんだろうが、自分が来なければこいつ らは死んでしまうのだろうという思いから、なんというか親的な感情移入をしていたような気がする。 「あの、どうかしたんですか?」 真剣に見すぎていたらしい、朝比奈さんは食事の手を止めてこちらを見ている。 朝比奈さんって、寂しい思いしてたりしませんか? 「え?」 あ、いや。ほら。朝比奈さんって、その……。未来人なんですよね? 最後だけは回りに聞こえない様に小声で聞いてみる。 「はい。そうですよ」 この時代で頼れる相手って居ますか? 住む場所とか、食事とかは大丈夫ですか? 「あの……その」 朝比奈さんが申し訳無さそうに言葉を濁すって事は……。 禁則事項なんですね。 寂しそうに、朝比奈さんは頷いた。 ――ウサギは寂しいと死んでしまう。 そんな豆知識をどこからか仕入れて以来、俺は頻繁にウサギ小屋に通うようになった。 家にウサギを持ち帰る訳にはいかない事くらい当時の俺でもわかっていたから、これ以上できる事は ないんだと勝手に思い込んでいた訳さ。 しかし、斜め上の発想をする奴はどこにでも居る。 特に小学校にはそこら中に居る。 そいつが誰なのか結局わからなかったが、その日ウサギ小屋に行った俺が見たのは壊された小さな扉と、 無兎の小屋だった。 後から教師が言った言葉によれば、そいつはウサギを自然に戻してやろうとしたんだとよ。 クラス総出で捜索した結果……そうだよな、戻るべき自然はこんな街中にある訳がないもんな。 生き物に触れる事で感情豊かな子供を作りたかったらしい教師の思惑は、ある意味想像以上の結果を もって終わりを迎えた。 ウサギ達がどうなったのかって? ……想像にお任せするよ。 ちなみに。 実はウサギは寂しくても死なないという事を俺が知ったのは、それからずっと後になってからの事だった。 「涼宮さん、今日は遅いですね」 放課後の部室、朝比奈さんはいつものメイド姿で暴君の訪れをじっと待っている。 かつてコンピ研で酷い目にあわされた時に、朝比奈さんはハルヒから逃げないいくつかの理由を言って、 その理由の中には何故か俺の名前もあった。 となれば、俺がこの人にしてあげられる事はこの部室に通う事しかないんだろうな。 「今日は、ずいぶんと優しい顔をしているんですね」 ん? そうか。 薄気味悪い古泉の突っ込みを、俺は長考の結果思いついた改心の一手で黙らせる。 その一手で前線までようやく辿り付いた古泉の駒は、主と自分の命を計りにかける事になった。 同時に勢いよく開く部室の扉。 「ん~……お腹空いた」 第一声がそれか、ハルヒ。 「だって秋なんだもん」 なるほどな、完璧な理由だ。 「でしょ? だから肉まん買って来て。1、2、3、4……5個。あんたも食べるなら6個ね」 なあハルヒ、皮肉って知ってるか? 俺の言葉を無視しつつ、ハルヒは団長席に座った。 「ほら! 早く行きなさいよ? みくるちゃんのお茶が熱い内に間に合わなかったら色々と酷いわよ!」 理不尽を体現するハルヒの隣では、被害者候補第一号とも言える朝比奈さんが脅えた顔をしている。 危ないと感じたら逃げるんですよ? なんて、ウサギに言っても無駄だったし、朝比奈さんに言っても 無意味なんだろうな。 大人しく席を立ちあがって、 古泉、肉まんの代金を半分持ってくれたら今の手は待ってやるぞ。 俺は目前の超能力者にたかるのだった。 走れメロスって話があるが、後世の人間に命令形でそんな事を言われる事になるとはメロスも王様も 名前が長いセなんとかも思って無かっただろうな。 寒空の下を適当な速さで走る俺の手には6個の肉まんがあり、代わりにポケットの財布はいくらか 軽くなっている。 早く戻って朝比奈さんの暖かいお茶と、暖かい笑顔と、叶うならば暖かい抱擁を……等と妄想しながら 部室のドアを開けると。 「寒いから早く閉める!」 「ひっ! み、みないで~!」 俺がウサギの事を考えていたせいなのか? ハルヒの手によってバニー姿に着替えさせられようとしている、殆ど裸に近い状態の朝比奈さんがそこ に居た。 ――すぐさま扉を閉めて「お疲れ様です」トイレに行っていたらしい古泉と一緒に部室の前で震えなが ら待つこと数分。 「……どうぞ」 悲しげな声がドア越しに響き、部屋の中にはご機嫌なハルヒに絡まれる朝比奈さんの姿があった。 ちなみに、2人ともバニー姿である。 「キョン。みくるちゃんを泣かせるなんて極悪人ね」 「ううう」 団長椅子に座ったハルヒの上には、脅えた顔の朝比奈さんが無理やり座らされていた。 無駄だと分かっていても抵抗したのだろう、朝比奈さんのバニー服は所々乱れていて違う趣味に目覚めて しまいそうな気がする。 なあ、ハルヒ。 「何よ」 涙目の朝比奈さんがたまりませんとか、この寒いのにバニーはないだろとか色々言いたい事はあるが。 ともかくあれだ。冷める前に食べろ。 俺はテーブルの上に肉まんの袋を置いて「やったぁ!」ハルヒの物理的な呪縛から朝比奈さんを助け出す 事に成功した。 なるほど、餌で釣るしかできない動物園の新人飼育係ってこんな気持ちなんだろうな。 「キョン。あんた今、変な事考えたでしょ」 考えたぞ。人間って一口で肉まんを食えるもんなんだなってな。 「うっさい!」 とはいえ、咀嚼という過程はハルヒにとっても必要な物らしい。 俺はその隙をついて肉まんを一つ掴み、ストーブのそばにしゃがんでいた薄幸のバニーへ届けに行った。 ……なんて言うか、元気だしてください。 「ありがとう。キョン君」 涙目、っていうかちょっと泣いている朝比奈さんに肉まんと上着を手渡して立ち上がると……おい、 ハルヒ。 「何?」 俺は6個肉まんを買ってきた。 念の為に財布から出したレシートには、確かに6個と印字されている。 「そうね」 それで、だ。お前は1個掴んで即座に口に入れて2個目を手に取り、古泉と長門も一つずつ持って 行った。これで4個だ。 まあ、ハルヒが2個食べるってのは想定内だとしよう。6個って聞いた時点で予測できたしな。 「ごちそうさまです」 「ありがとう」 あいよ。そして5個目、朝比奈さんの分を俺は届けた訳だが、何でテーブルは空になってるんだ? そう、振り向いた先には空のビニール袋があるだけで、俺の分の肉まんはすでになかったのだ。 ハルヒは無駄に真面目な顔で頷きながら、 「不思議ね、宇宙人のせいかしら? これは調査する必要があるわ」 などとわざとらしく呟く。 そうだな、第一に疑われるのは不自然に膨らんでるお前の腹だ。 「キョン! あんた何失礼な事言ってるのよ! セクハラよ?」 じゃあ聞こう。肉まん2個食べた結果がその膨張した腹部なのか、それとも3個食べたからそんな 状態になってるのかどっちだ。 「3個よ!」 ……即答するくらいなら最初から言えよ。 ともあれ部室の中に漂う暖かい肉まんの香りは、昼食から既に十分な時間の経過を経た結果空洞と 化している俺の胃は切なげな訴えを始める。 もぎゅう。 「あの、キョン君。半分食べちゃいましたけど、わたしの肉まんでよかったら」 遠慮がちに提案してくれる朝比奈さんの手には残り半分程になった肉まんがあったが、 「ありがと!」 即座にハルヒの手によって持ち去られたのだった。 ……ここまでやられたら俺だって怒る、ああたまには怒らせてもらおうじゃないか。 日本人は食い物に関してはやけに怖いって事を教えてやらねばなるまい。 俺はふつふつと湧き上がる怒りを行動に移すべく――朝比奈さんの食べかけというプレミア価値が ついた――最後の肉まんを、至福の笑顔で食べているハルヒの前を通り過ぎ、立て付けの悪い部室の 窓の前に立った。 ハルヒに見えないように、朝比奈さんにそっとブロックサインを送る。 内容は「上着を着て下さい」だ。 上着を羽織る仕草を何度か見せると朝比奈さんは俺が伝えたい意味がわかったらしく、いそいそ と俺が渡したブレザーに袖を通し始める。 ――準備よし。晩秋の寒さで悔い改めろハルヒ! 俺は一切躊躇わず、文芸部の窓を……ん、……あ、あれ? 開かない? 「ふっふ~ん。あんたの考えなんてお見通しよ」 得意げなハルヒの声に振り向くと、ハルヒの手には何故か木工用ボンドがあったのだった。 そそくさとバニー服の上に制服を着て、 「じゃあまたね!」 ウインクひとつ残し、ハルヒ(うさ耳付き)は去っていった。 自分の作戦が上手くいった事が余程嬉しかったんだろうな、あんなにご機嫌なハルヒは見た事が ない。 質量保存の法則じゃないが、ハルヒの機嫌が良くなった分だけ機嫌が悪くなった奴が居る。 俺だ。 古泉、最後に言いたい事はあるか。 「僕を疑う気持ちは大いにわかりますが、今回に関して言えば僕は潔白です。先ほどの貴方の顔を 見て、笑ってしまった事に関しては謝罪しますが」 ああそうかい。 お前が顔を隠して、声を殺しながら笑ってやがった事を俺は忘れるつもりはない。 しかし、ハルヒはなんで俺が窓を開けるって知ってたんだ? 思いつきの行動だったのに。 ハルヒが新たな力にでも目覚めたのかと考えていると、 「あの。涼宮さんは長門さんが窓際で寒そうにしていたから、隙間風が入らないようにボンドで窓 を固めてました」 申し訳なさそうに朝比奈さんが教えてくれた。 確かにこの部室は古い建物だけあって寒いとは思う……それにしても、少しは手段を選ぼうぜ? 真っ白な接着剤で埋められた窓枠と窓の隙間を撫でつつ、俺はハルヒが春になった時どうやって 窓を開けるつもりなのかを考えて――考えてないんだろうなぁ――溜息をついた。 「あの衣装、久しぶりに着たから恥ずかしかったな」 帰り道、夕焼けよりも赤い顔をした朝比奈さんが隣を歩いている。 肉まんの礼なのか知らないが、朝比奈さんが着替えている間に長門と古泉は先に帰ってしまったの で2人っきりだ。 こんな事を言うと怒られるかもしれませんが、似合ってましたよ。 「……やっぱり、男の人ってあーゆー服が好きなんですか?」 上目遣いで見つめられると、今度は俺の顔が赤くなってしまう。 えっと、その。着ている人によります。 答えになっていない俺の苦しい言い訳に微笑んで、 「じゃあ違う質問……涼宮さんとわたしだと、どっちが似合ってました?」 嬉しそうに朝比奈さんは問いつめるのだった。 そりゃあ……。 朝比奈さんです、と言いたい所なのだが実際問題ハルヒのバニー姿が似合ってないのかと言われれ ば、反則級に似合っているのも事実なのだ。朝比奈さんの男心をくすぐる愛らしいバニーと、野性味 溢れるハルヒのバニー姿。甲乙付けがたいところだが、ここはやはり 「ぶー。時間切れです」 俺の唇に人差し指を押し当てて、朝比奈さんはくすくすと笑っていた。 ……朝比奈さん。 「はい?」 可愛い過ぎてどうにかなりそうです――なんて、言えないよなぁ。 何でもないです。 「なんだろう~何を言おうとしたのかな?」 俺の顔を見るご機嫌な朝比奈さんの視線がくすぐったく……正直、心地いい。 ちなみに朝比奈さんは今、殆どくっつく程俺の近くを歩いているので不可抗力で俺の腕に色々と当た ったりしているのだが、彼女はそれを気にしている様子は無い。 これはまあ、公園でお話を聞いたあの頃よりも親しくなったって事なんだろうな。 ――楽しい時間はあっという間に過ぎていき 「じゃあ、わたしはここで」 どうして俺の家は朝比奈さんの家(どこだか知らないが)と離れた場所にあるのだろうか? 考えるまでもない、朝比奈さんはハルヒの観察に来ているのであって、俺の観察に来ているのではな いからだろう。 交差点を前に足を止める朝比奈さんに、俺は無理やりな笑顔を返す。 せめて、その愛らしいお姿が見えなくなるまで見送ろうじゃないか。 そう思って動かないでいた俺なのだが、 「……」 何故か朝比奈さんも足を止めたまま、その場所から動こうとはしなかった。 お互いに見つめあったまましばらく立ち尽くし、 「帰らないんですか?」 何かを期待するような声で朝比奈さんはそう言った。 朝比奈さんが見えなくなったら、帰ろうかなって。 「……私も同じだから、2人ともお家に帰れませんね」 朝比奈さんの手がそっと伸びてきて、俺の制服の端を掴む。 えっと……あ、朝比奈さん? 俺のネクタイと顔の間を朝比奈さんの視線が彷徨い、高速で俺の理性が吹き飛んでいく。 落ち着け。いや落ち着くな? これはいったい何がおきてるんだ? 状況を整理しようとする頭を無視して、俺の両腕はそっと朝比奈さんを包む様に伸びていく。 どこかで逃げられるだろう。 もしくは誰かの――というかハルヒの――邪魔が入るに違いない。 残念だったな~俺。 これまでの経験からそう考えていた俺なのだが……分速1メートル程の速さで動いていた俺の腕は、 あっさりと朝比奈さんの背中で合流してしまったのだった。 腕に押される形で、朝比奈さんの体がぐっと近づく。 そんな状態でも朝比奈さんは逃げ出そうとはせずに、迷うような視線を俺に向けている。 思考停止――。 これが夢なら夢で構わないさ、少しでもこの時間が長く続いてくれればそれでいい。 カーディガン越しに感じる朝比奈さんの体はあまりに小さく、そして柔らかい。 何かを喋ればこの時間が終わってしまう気がして、俺は何も言わないままじっと朝比奈さんを見つ めていた。 やがて、彷徨い続けていた朝比奈さんの視線が俺の顔の辺りで止まった。 「キョン君」 ……はい。 「暖かい」 朝比奈さんの小さな両手が、俺の胸に添えられる。 もう少しだけ強く抱きしめてみよう。俺がそう思って腕を動かそうとした時、 「暖かくて、離れたくなくなっちゃうから……」 そう言って、彼女は俺の胸をゆっくりと押し返した。 朝比奈さん。 俺は目の前で寂しげな顔をする上級生の名前を口にしたが、それ以上何を言えばいいのかわからな かった。 「……えへへ、困ったな。きっと怒られちゃいます」 悲しげに呟く朝比奈さん、彼女は――未来人なのだ。 来るべき時が来れば、彼女は元の時代に帰ってしまうのだろう。 そして、未来人のルールでは過去の時代の人間と深く関わってはいけないらしい。 そんな彼女に俺ができる事ってなんだ? してもいい事ってなんだ? 無力なただの一般人でしかない俺が、彼女にしてあげられる事は……。 涙目になっていた朝比奈さんに近寄って、俺は再びそっと腕を伸ばした。 「キョ、キョン君?」 戸惑う彼女を無視して、その小さな体を包み込む。 朝比奈さんの手が俺の体を押し返そうとそっと力を加えてくるが、俺は動かない。何故なら。 今日は寒いから、朝比奈さんを暖めてます。 ……我ながら、何とも白々しい嘘だ。 俺の言葉に、朝比奈さんはきょとんとした顔で動きを止めている。 暖めてるだけです、それ以上でもそれ以下でもないんです。この時代ではこれが普通なんです。 ――あの日、草むらで見つけたウサギは二度と動かなくなっていた。 すでに冷たくなっていたうさぎに俺がしてやれたのは、無駄だとわかっていても抱きしめて やる事だけ。 そして高校生になった今も、俺はこんな事しかできないでいる。 俺のくだらない言い訳に、朝比奈さんは俯いて笑っている。 小さく揺れる朝比奈さんの体をくすぐったく感じていると、 「……ありがとう」 俺の胸に額を当てて、朝比奈さんはそう囁いた。 うさみくる ~終わり~
https://w.atwiki.jp/akadama/pages/115.html
その日。僕が部室の扉を開けると、机の上に散らばる栗色の長い髪があった。 メイド服を纏ったその姿は相変わらず可愛らしく。しかし何故か衣服が多少乱れていて。 一瞬何事かと凝視し、直ぐに安堵する。細い肩がゆっくりと上下していた。 「……これは珍しいですね」 部室には涼宮さんも長門さんも彼も居らず。 朝比奈さんが一人で机に顔を伏せて寝ていたのだ。 寝ていたと言うと平和的だが、朝比奈さんの姿は着替え途中と言っても差支えが無いくらいで。 大きく開いた襟元から白い肩や首筋が覗いていた。 何故こんな状態で彼女は寝ているのだろうか。 「朝比奈さん……そのお姿は目の毒ですよ」 驚かせないようにそっと話しかけてみる。反応は無い。 もし僕が彼だったら、このまま朝比奈さんを目の保養にしてしまうのだろうか。 いや、彼も案外初心だから早々に退室するだろう。 何故彼女が寝ているのか解らないが、このまま眺め続けるのも問題があるような気がする。 しかし常識的に考えて、こんな寝方はおかしい。 僕は朝比奈さんに近づいて、その顔を覗き込んだ。 閉じた目蓋を縁取る長い睫。桜色の唇が濡れたように光り、半開きになっていた。 思わず目を奪われる。 ──いや待て。見ている場合ではない。 いつもの朝比奈さんを考えると、幾らなんでも着替え途中で寝る事は有り得ない。 突如体調を崩したか。それにしてはどこにも不調の見られない安らかな寝顔だ。 では誰かに襲われたのか。それなら何故朝比奈さんをこのまま放置してあるのか。 これは本物の朝比奈さんなのか。まず疑うべきはそこだ。 恐る恐る髪に手を触れる。さらさらと柔らかな感触。 頬に触れれば体温を感じ、その肌理細やかな頬の弾力が微かに指を押し返す。 本物としか思えない。 ではどうして寝ているのか。 朝比奈さんに触れていたい気持ちを抑え、僕は現状の把握を優先させた。 ……考えたところで結論も出ないが。 「朝比奈さん。起きて下さい。朝比奈さん」 こんな格好で寝ていたと知れば、恐らく彼女は驚くのだろうが、このまま寝かせておく訳にはいかない。 どういう状況で寝入ったのか聞かなくては。 僕の杞憂に過ぎないのなら、それはそれで良いのだ。 しかし、どれ程に声を掛けても、肩を揺らしても、一向に起きる気配が無い。 これは異常と言える。 「朝比奈さん……!」 揺さぶる手が滑り、滑らかな肩がより露になってしまった。 どうしても手が止まる。服を戻さなければ。 僕は出来るだけ肌を直視しないように、衣装に手を伸ばした。静かに引き上げる。 こんな所を誰かに見られたら、なんと思われる事だろうか。 それに、そろそろ誰か来てもおかしくない時間なのに、扉が開く気配も無い。 明らかにおかしい。そう頭では解っているのに。 「……こんな姿で無防備に寝ていては危険ですよ」 それは現実逃避的な独白のはずだった。 「どう危険なのかな?」 何処かで聞いた事のある声がした。 いや、何処かなどと言う物では無い。今目の前で寝ている人の声に近い。 そして目の前の人物は眠っているのだ。話す訳が無い。 おそらく僕の顔には緊張の色が浮かんでいただろう。 「お久しぶり。ううん、こうやって会うのは初めまして、かな?」 慌てて振り返った僕の前には佇むその人は 今よりも大人びた綺麗な顔に艶やかな笑みを浮かべていた。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5509.html
この仕事で最初に貰ったテキストに書いてあったこと 「時空管理者が恋をした場合の選択肢は、記憶を失うか心を殺すことである」 高校卒業の後、元の時間にもどったわたしはがむしゃらに努力してそれ相応の権限を手に入れました。 そしてあの時代に干渉した結果、規定事項はすべて遵守、今の未来も確定してわたしの仕事は終わりました。 わたしに残ったのは、過去の記憶と現在の管理局トップとしての地位。 ここは広大な敷地にある図書館の館長室。 「機関の提案に対して、情報統合思念体は同調することにした。あなた達の結論を聞きたい」 「わたしたちも賛同します。今回の提案は、こちらにも利あるものですから」 話し相手は長門さん。アカシックレコードとすら評されるこの図書館の館長をしている彼女の正体を知るひとは少なく、知る人にとってはこの建物の二つ名は皮肉ですらあります。 配属前の研修生として一度だけお会いしたときには、その後文芸部室で再会するなんて考えてもいませんでした。 今は、私の交渉相手であり今でも苦手だけれども親友のひとりです。 「あなたは・・・・・・、朝比奈局長は後悔しない?」 彼女はわたしの顔色を伺うようにして問いかけてきました。だから、あたしは表情を変えることなく 「今回の件は、規定事項・禁則事項双方にも該当しませんのでわたしが後悔する理由はありません」 と答えることにしました。そして 「そう」 それは感情のこもった返事でした。 帰宅途中、わたしと彼女は入れ替わってしまったのかもしれないとふと感じました。 昨日からキョン君の、いえ長門さん以外のみんなの様子がおかしい気がします。 涼宮さんはやたら古泉くんを持ち上げるし、普段なら言い返す場面でもキョン君はそっけない態度です。 古泉くんもやけにキョン君に絡んでいる気がします。 「キョン君、どうぞ」 「ありがとうございます、朝比奈さん」 いつもと変わらない受け答えだけれども、キョン君の表情はなにか硬くて心配です。 「なにか困ったことがあるなら、あたしでよければ力になりますよ」 「いえ、何でもないですよ」 どうみてもいつものキョン君じゃないけど、あたしじゃやっぱり力になれないのかなぁ。 「みくるちゃん、おかわり」 「は、はい」 「みくるちゃん、キョンを甘やかしたらだめよ」 「で、でも・・・・・・」 涼宮さんの態度は普段と変わらない、でもやっぱりなにか違和感を感じました。 3人が帰った後、長門さんに聞いてみることにしました。そして聞いたのは予想しなかった事実。 「つまり、涼宮さんはキョン君に嫉妬させるために古泉くんと付き合っているふりをしているということですか」 「そう」 「なんでそんなにキョン君に冷たくあたるのでしょうか」 「涼宮ハルヒは、古泉一樹と付き合う事により彼の意識を向けさそうとしている」 「だが。彼は行動を起こさずにいる」 「涼宮ハルヒは、本心では彼に関係を否定してもらいたいから」 「・・・・・・」 「だから今、わたしは二人の監視を続けている」 長門さんは読んでいた本から目を離し、あたしをじっと見て言った。 「あなたは事実を知ったとして、なにができるの」 あたしはなにができるのだろうか。 次の日の放課後。 「おまたせ!」「ハルヒ、ドアがそのうち壊れるぞ」「いちいちうるさい!」 最後に涼宮さんとキョン君がきました。あたしもさっき着たばかりでまだ着替えていません。 「あれ?みくるちゃん、まだ着替えてないの?じゃあ、キョンと古泉くんはそとでまっていなさい」 昨日の長門さんの話をきいたので、涼宮さんを直視できないです。二人の問題であたしが干渉することじゃないんだけど。 長門さんが本を閉じ、先に帰ってしまいました。みんなも帰宅準備をしているときに古泉くんが涼宮さんに話しかけます。 「涼宮さん、このあと少しお時間いただけますでしょうか」 「どうしたの、古泉くん」 「いえ、お話ししていたお店で夕食をご一緒にいかがかと」 涼宮さんはキョン君をちらりと見ました。やっぱり止めて欲しいんだろうなぁ。 「ん?どうしたんだ、ハルヒ」 キョン君は鈍感です。視線をはずし 「そうね、じゃあ古泉くん。お願いするわ」 そう答える涼宮さんの声は、あたしには嬉しそうには聞こえないなぁ。 「涼宮さんと古泉くんどうしてますかね?」 二人がいなくなった後、ちらっと呟いてみました。 「あの二人だから・・・・・・うまくやってるんじゃないですか?」 「キョン君はそれでもいいの?」 彼があたしをじっと見て言葉をつなぐ。 「朝比奈さん。あいつがそれでいいなら俺は何も言わないです」 「じゃあ・・・・・・、なんでそんなに悲しそうな顔をしているの」 「・・・・・・」 「朝比奈さん、それがあいつの望みなら俺は何も言えないですよ。」 あたしにできることって。 「キョン君。あたし、今までキョン君に迷惑をかけたりしました・・・・・・」 「朝比奈さん?」 「あたしじゃ力になれないかもしれませんが、あたしキョン君の事が心配なんですぅ」 彼はあたしの言葉を聞いて少し寂しそうにした。その後、彼は決心を固めたのかあたしを見つめて・・・・・・ 「俺、朝比奈さんを頼ってもいいですか」 「はい。よろしくお願いします」 そのときからあたし達は付き合い始めました。最初は支えあうというほうが適切だったかもしれないけど。 あれから一夜過ぎて。朝、定期通信の内容を確認しています。 「1」 「システム更新のために通信が数日間不通になります。その間は各管理者の判断で対応してください」 「先に連絡していたとおり、各自転居をお願いします。住居確定後、速やかに連絡ください」 ああそうか、昨日通信しても返答がなかったのはそういう理由だったのかぁ。でも『1』ってなんだろう。 転居かぁ・・・・・・今住んでいる所が契約更新の時期だからちょうどよかったかも。そういえばこのまえ鶴屋さんに相談したときに 「それなら、あたしにまかせるさ~」と言われたけどそのあとどうなったのかなぁ。今朝にでも確認してみるかなぁ。 うん、できれば・・・・・・キョン君と一緒に帰れる範囲が良いなぁ。 あたしには、何より気になる一文があって、「現状維持で観察を続けてください」とのこと。 禁則事項だと聞いてはいなかったけど本当に良いのかなぁ、とつい首を傾げてしまうのでした。 「鶴屋さん、おはようございます」 「みくる、おはよう。きょうもかわいいねぇ~」 ハイキングコース(キョン君命名)の入り口付近で、鶴屋さんと鉢合わせです。やっぱり朝から明るいオーラがあふれています。 昨日のことはお昼に話そうかなと思っていたら、鶴屋さんから話を切り出してきました。 「そうだ、みくる。この前の話、転居のことだけど、どうせだからあたしんちに住むというのはどうだいっ。」 鶴屋さんのご自宅はすごく広い屋敷で以前(みちるとして)お世話になってたこともあります。 「以前泊まってた、あれちがったか、うちの離れだったらみくるが住むには十分だと思うさっ。食事はせっかくなんでみんなで一緒に食べよう」 「じゃあ、お願いしようかなぁ・・・・・・」 使用人の方々も一緒に住んでいた彼女の屋敷ですが、そういえば食事はみんなで集まって頂いていました。「ごはんはやっぱりみんなで一緒に食べたほうがおいしいから」という理由だと当時聞いたような気もします。 「それならさっそく明日にでも引越ししようか。うちまでキョン君なら自転車で来れる距離だから」 鶴屋さんの勘のよさにすこし驚いたり。まだ何も話していないのにキョン君の名前が出るのだから。 「どうせだし、全部あたしにまかせるにょろ。みくるの悪いようにはしないさぁ~」 「お、お願いします」 ま、まああたしは自覚したくないけどみんなからどじっ子と言われているのでやはり任せたほうが安全ですね・・・・・・書いてて悲しくなってきた、しくしく・・・・・・。 お昼休み。重要な話なので他のお友達のお誘いは辞退して、鶴屋さんと中庭でお弁当を突きながら話すことにしました。 たまには二人だけでお弁当もいいと思いませんか。「デートのお誘いかいっ(by 鶴屋さん)」 「へっ?ハルにゃんじゃなくてみくるがキョン君と交際?しかもみくるから告白???」 昨日の話をしているのですが、鶴屋さんが話を聞いている間ずっと呆然としてるのはなんででしょうか。 「え、う、うん・・・・・・」 まるで探偵が被疑者を問い詰めるようにして確認してきます。 「キョン君は確かにああ見えて結構ポイント高いと思うし、みくるに好意があったのは知ってるけど・・・・・・まじかい、お嬢さん?」 「う、うん」 そう聞かれるとうなずくしかできないです。 「ところで、ハルにゃんはそれ知ってるのかなぁ?」 「放課後に話そうと思っているのですが、どう切り出そうかなぁと」 そう、それが放課後の一番の心配事なんです。不思議探しで二人きりになった時ですら、あれだけ騒ぐあの涼宮さんがあっさり納得してくれるとは思えない。 鶴屋さんはお嬢様で立場上いろいろと会話技術もあるだろうし、なにかアドバイスをもらえたらいいなぁと。 「いいかい、その話は絶対にみくるからするんだ。キョン君にさせては駄目だよ」 鶴屋さんはさっきまでおちゃらけな雰囲気をがらりと変えて真剣な表情で言いました。 「は、はい」 たしかに、キョン君が話したら以前のように閉鎖空間で二人きりとか。そんなのはいやだ。 「強気で話す、そうしないとハルにゃんにはぐらかされてしまうからねぇ」 「はい」 「じゃあ、放課後はキョン君をあたしが引き止めるからがんばるにょろ」 話は終わりとばかりに弁当からを片付けながら、態度をさっきのおちゃらけな雰囲気に変える彼女。同じ年齢のはずだけどあたしにはまねできないです。 「そうだ、これからはキョン君の家で夕飯食べてうちに送ってもらいなよ~」 「そ、そうですね」 からからと笑う彼女をみるとなんだかうまくいく気がしてきました。 「自転車に二人乗りかぁ。青春だな、すこし妬けるねぇ。あはははは」 その光景を思い浮かべたあたしを指差して笑う彼女。顔が真っ赤になってるのかなぁ。 悩んでいたあたしに元気と勇気をくれる鶴屋さんは、大切な親友です。 <その4> 放課後。SOS団の部室に入ると、キョン君以外みんながそろってました。 「キョンは鶴屋さんが用事があるって連れて行ったわ」 パソコンの画面を眺めながら不機嫌そうなオーラを出しつつ涼宮さんはそういいました。 「えっと、涼宮さん。話があるのですが」 ここに来る前に考えてたとおりに話を切り出します。 「どうしたの、みくるちゃん。そんなまじめな顔をして」 「あたしの彼氏が見つかったら、涼宮さんが面談するって言ってたので報告します」 面白いことを見つけたとばかりに満面の笑みを浮かべて、涼宮さんが席から立ち上がってあたしに抱きついてきました。 「みくるちゃん、いい人がみつかったの?ねぇ、だれ?だれ?」 どうみてもおもちゃをねだる子供みたいだなぁと一瞬思いました。あたしはこの子供をおもちゃから引き剥がすのに。 「キョン君です」 予想はしていたけど、涼宮さんはぴたっと硬直し部室の空気が凍りました。 「へ?キョン?何の冗談?」 涼宮さんは少し離れてあたしの顔をじっと見つめています。 最初は冗談と思ってたのかきょとんという雰囲気が、にらみつける感じに変わり、かわいそうな人を見る目で話し始めました。 「みくるちゃん、そういうのは冷静にならなきゃだめよ」 その後に続くのは普段のキョン君への愚痴を並べたような内容。 「キョンのどこが良いわけ?気が利かないし、使えないし、ぱっとしないし、いろいろ鈍い。容姿も悪くはないけど普通だわ。優柔不断なところもあるし、キョンにみくるちゃんはもったいなさ過ぎるわ。それに・・・・・・」 今までは涼宮さんとキョン君の口げんかと半分流していた内容、でも今は聞いてて不快にしかならない。 そもそも、涼宮さん自身そうは感じていないのになんで素直にならなかったのだろうか。 「やめてください!」 気が付けば、叫んでいました。 「好きなんです。キョン君がOKしてくれたんです。あたしの彼を悪く言わないでください」 鶴屋さんは強気でと言ったけど、あたしは自分の感情を泣かずに言うのが精一杯。この程度で泣いたらキョン君の力になれない。 「そ、そう。ま、まあみくるちゃんがそういうなら・・・・・・。あたしとしても交際を応援するわ」 続いた沈黙のあと、涼宮さんはしばらくして声を搾り出すようにして、そうつぶやきました。 きまずい空気が悪いまま長門さんが本のページをめくる音だけが聞こえてきます。 「きょうは調子が悪いから帰るわ。最後の人は鍵よろしくね」 涼宮さんは空気に耐えられないのか逃げるようにドアを飛び出して、その直後キョン君と鉢合わせたみたいで 「遅れてすまん、鶴屋さんに雑用を頼まれて・・・・・・ってハルヒどうした?泣いているのか?」 (ドンッ)←なにか壁に当たる音 「いってえ。なんで突き飛ばされないといけないんだ。わけがわからん」 入れ替わりキョン君が入ってきました。 「いったいどうしたんだ?なにかあったのか?」 キョン君の問いにいつものスマイルで古泉君が答えました。 「別に。朝比奈さんがあなたとの交際のことを涼宮さんに伝えただけですよ」 「・・・・・・そうかい」 憮然とするキョン君。 「詳しいお話は明日にでも聞かせてください。僕はこれからバイトですから」 閉鎖空間の発生。今回は間違いなくあたしが原因。 「ごめんなさい、古泉くん」 「気にしないで下さい、朝比奈さん。涼宮さんはあなたのことを嫌いにはならないでしょうから」 そうだったらいいのだけど。あたしとしてもSOS団は居心地のいい場所、涼宮さんは納得してくれるだろうか。 キョン君と一緒に帰っているとき今日の出来事を伝えました。 「だから鶴屋さんはそういう理由で俺を呼んだのですか。朝比奈さんありがとうございます。ハルヒには俺から本来伝えるべきだったけど、放課後まで切り出すことができなくて」 せっかく一緒なのになんか空気が悪いので、引越しの話あたりで話題を変えよう。 「明日、鶴屋さんの家に引っ越すんですよ。前お世話になった離れを使っても良いって」 キョン君は2月のことを思い出しているのかすこしぼんやり考えて 「あそこならうちから散歩できる距離ですから、帰りに送って行くこともできます」 「じゃあ、引越ししたらお願いしようかなぁ~」 よかったぁ~、いつもの感じに戻った。内心ほっとしながら微笑むあたし。 それから、これからの事を話していると駅に着いてしまいました。 もう少しキョン君とお話したかったなぁ~・・・・・・そう思っていると 「明日からはもっと一緒に居れますよ」とキョン君が言ってくれました。 あたしも、明日を楽しみにしながらキョン君と別れて改札に入りました。 昨晩はキョン君と長電話してたので、鶴屋さんからメールが来ていたのに気が付かなかったのです。言い訳ですけどね。 だから今朝インターフォンがなったので、来客を確認すると、 「ひ、ひぇぇぇぇぇぇぇ」 え、えっと鶴屋さんが一人堂々とドアの前に立ち、その後ろに整列した集団。皆さん真ん中に『つ』と書いた作業服を着ています。 ドラマで見る家宅捜索の現場みたいですけど、あ、あたしは何もわるいことしてませんよ。 「おはよう~みくる~。メールしたとおり、引越しはじめるにょろ」 とりあえずドアを開けないと・・・・・・ロックがあかない。 「えっ、えっと何事ですか」 「メールみてないのかい?」 うんみてない、そう答えると簡単に説明してくれました。 「部屋の中身を全部移動させて学校に行くときにそのまま部屋を引き払えるようにするって書いたんだけどさ」 あたしですか?朝食食べながらTVを見ていましたよ。まだ7時ちょっと過ぎですから。当然顔は洗ってますが準備はしてません。 仕方ないので業者さんは一度車にもどってもらって、鶴屋さんにはあがってもらいます。 部屋の中をさっと見て、話を続けます。 「んじゃ、鍵をあずけていてもらえるかいっ?部屋のものをそのまま移しておくから今夜から離れに住めるようにしておくさ」 「ところで、今朝はイチゴジャムを食べてたのかなっ、ほっぺたについているよっ」 「うぅ・・・・・・」 一緒に家をでるときに鍵を業者の方に預けました。さようなら、今朝まで過ごしたあたしのおうち。 「どうしただい、みくる」 「長く住んでたお家を離れるので少し寂しく思っちゃって・・・」 そうだね、そういって鶴屋さんは進みます。あたしは後ろを振り返って 「いままでありがとう」 とだけ。 そうそう。夕方、これからお世話になる鶴屋さん宅の離れに行ったあたしが、朝の状態をそのまま移動させた部屋を見て驚きで腰を抜かしたことはみんなには黙っててくださいね、鶴屋さん。 メイド服に着替えて最初の仕事はみなさんにおいしいお茶を飲んでもらうことです。 昨日キョンくんと一緒に出かけた際、お店で薦められたのは「青柳」というお茶。キョンくんにも受けがよかったので、今日はこれに一緒に買ってきたあられをお茶請けに出しましょうか。 長門さん、古泉くんとキョンくんは熱いままで、涼宮さんはぬるめに。 これは長門さんの湯のみ、古泉くんとキョンくんのはこっちにおいて、と。 「お茶です、どうぞぉ~」 「あ、どうも」 古泉くんとゲーム中だったキョンくんは(あたしの両手がふさがっていたため)手を休めて、お盆からお茶とあられを取ってくれました。お茶をかるく冷まして一口飲んだ彼は、あたしを穏やかな表情で見つめて 「ありがとうございます。おいしいですよ」 とお礼を言ってくれます。このやさしい表情があたしは大好きだなぁ。 「いえいえ」と答えつつ笑顔で微笑み 「キョン君に喜んで貰えるのであたしも・・・・・・」と心の中で呟いてます。 「はい、どうぞ~」 「ありがとうございます、朝比奈さん」 古泉くんは、普段の微笑みの表情でお盆から取ってくれます。 長門さんは読書中なので手元にそっとお茶とお菓子を置いておきます。 「涼宮さん、どうぞ~」 「・・・・・・」 お盆を置いて、いつもの場所に湯飲みとお茶請けを置きます。PC画面に注視しているのか、涼宮さんはあたしに気がついていないようです。涼宮さんはお茶を一気に飲むため、すぐ湯飲みが空になります。あとで確認しないといけないなぁ。 「みくるちゃん、ちょっとこっちにきて」 涼宮さんが席から呼んでいます。「は~い」と返事して向かってPCを覗き込むと 「はにゃぁ!!!!!!!」 どうみてもコスプレ衣装の購入サイトです。 「このパンダの気ぐるみもいいわね。チャイナ服は以前着たがってたっけ?あ、あとうちセーラー服だからブレザーもいいわ」 「・・・・・・」 声には出していないけど18歳未満お断りなものもあります。 「おい、ハルヒ。朝比奈さんが嫌がってるだろ。ほどほどにしとけ」 がんばって、キョンくん! 「みくるちゃんはあんたの彼女である前にSOS団の団員よ。かわいい萌えキャラにかわいい衣装を着せるのは正義なのよ」 「え・・・え・・・。正義なんですかぁ~?」とハルヒの言葉に戸惑うあたし。 「まあ、それが正義なのは全く同意するところであるが」 負けちゃだめ、がんばって! 「ふん、この部屋でデレデレするのは団長であるあたしが許さないわ。でも、みくるちゃんはメイド服が本当に似合ってるわねぇ」 そういうと涼宮さんは席を立ち、抱きついてきました。 「こんなにかわいいし、いろいろな服を着せて楽しみたいって思うのは人として当然なのよ」 「だめですぅ。やめてくだしゃーい」 まともに返事できないけど、やめてくださーい。 「大丈夫ですか、朝比奈さん」 数分後。はぁ・・・・・・疲れました。キョンくんが割ってはいって止めてくれたけど、涼宮さんはやはり怖いですぅ。 ところで、さっきの会話でちょっと気になったことがあるので聞いてみよう。 「キョン君、これからあたしを『朝比奈さん』ではなくて『みくるちゃん』と呼んで貰えませんか?」 「どうしたんですか、急に」 「涼宮さんを名前で呼んでいるのに、あたしを苗字で呼ぶのはなにかおかしいんじゃないかなぁ」 言ったあと、『これは嫉妬なのかぁ』と思ったけどこの程度のわがままは当然の権利ですよねぇ。 「そうね、たしかにみくるちゃんのいうとおりだわ。キョン、そうしなさい」 涼宮さんの援護射撃もあり、キョンくんは 「みくるちゃん、みくるちゃん・・・・・・」 と呟き始めて、意を決してあたしの顔を見て 「え、えっと、みくるちゃん」 「はい!」 ・・・・・・キョンくんは硬直して顔が赤くなっていき 「朝比奈さん、ごめんなさい、無理です。せめて呼び捨てで良いでしょうか」 「もちろん、それでも大丈夫ですよ」 「じゃあ、み、みくる」 「はい、キョンくん」 そのまま二人はっずっと見つめあい、そしてほぼ同時に噴出しました。だって、キョンくんが面白いんだもの。 そのあと、耳元でこっそり 「じゃあ、二人きりのときにみくるちゃんって呼んでくださいね」 と冗談を言ってみたんだけど。自分で照れてキョンくんの顔を見れなくなってしまいました。 「涼宮さん、僕達も名前で呼び合いませんか」 「あたしは別に気にしないわ、『古泉くん』」 「そうですか」 古泉くんのいつものスマイルがすこし悲しそうに見えましたが。気のせいですね。 「涼宮も古泉のわがまま聞いてやればいいじゃないか」 「へ?」 キョンくんの提案に、涼宮さんはぽかーんとしていますが。あれ?どうしたんでしょうか。 「どうした?俺なにかへんなこと言ったか?」 「なんで苗字で呼ぶの・・・」 涼宮さんはぽかーんとした表情のまま答えています。 「さすがに彼氏もちの女性を名前で呼んだら、変に疑われるだろ。俺なりに気を使わないといけないと思っただけだ」 「僕は気にしませんよ」 「周りが気にするんだよ」 キョンくんが古泉くんを軽くにらんで話している時に、一瞬悲しげに曇った表情になったことにあたしは気づいてしまいました。 その2につづく
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1689.html
今日の授業も終わったし掃除当番も終わったから早速部室に行くことにした。 部室のドアを開けた瞬間、みくるちゃんが立っていて『あっ!』と思った 瞬間にはお互い頭を強くぶつけてた。 「いたたたたた・・・みくるちゃん大丈夫?」 「痛かったですぅ・・・でもなんともないですよ。」 と言って顔を上げると・・・ 「え!何であたしが目の前にいるの!!」 「ええっ!ど、どうして私が目の前にいるんですかぁ~。」 ほっぺたをつねってみた。痛い。どうやら夢じゃないみたい・・・ 「もしかして・・・あたしたち人格が入れ替わっちゃったの??」 「ふえ~ん・・・そうみたいですぅ・・・」 「どうすれば元に戻るんだろう・・・もう一度頭をぶつけるわよ!」 「ええええー、痛いのはやですよ~」 「黙って言うことを聞きなさい!」 とりあえず何回か頭をぶつけてみたものの戻ることはなかった。 「ううう・・・頭痛いですぅ・・・」 「みくるちゃんも泣かないの!それにその体私なんだから。」 困ったことになったわ・・・この先戻れないんじゃ・・・と、考えて みたものの他人になるのは悪く無いわね。面白そう。 「とりあえず元に戻る方法がわかるまでこのままでいましょ。」 「わかりました・・・でも涼宮さん、なるべくおとなしく してくださいね・・・あっ」(TPDDはちゃんとある・・・大丈夫みたいですね。) 「なに?みくるちゃん。」 「いえ、なんでもないですぅ。」 こうして私とみくるちゃんの入れ替わり生活が始まった。 「ういーす。」 俺は部室のドアを開けた。 長門はどうやら不在、いるのはハルヒと朝比奈さんだけ。 「なんか2人とも額が赤いけどどうしたんだ?」 「なんでもないわよ。」 朝比奈さんが答えた。 『わよ』?マイスウィートエンジェル朝比奈さんが今まで 発したことが無い言葉だ。聞き間違いかな。 「ハルヒ、掃除当番は終わったのか?」 「はい~。ちゃんとやってきましたぁ。」 なんだなんだ、ハルヒの言動がおかしいぞ。また何かの モードにでも入ったのか? 「あ、朝比奈さんお茶もらえますか。」 「わかったわ。」 その後乱雑にお茶が運ばれてきた・・・ (俺、なにか朝比奈さんを怒らせるようなことしたんだろうか・・・) そう思いつつ朝比奈さんを見ていると、 「何見てるのよ、エロキョン!」 思わぬ言葉が返ってきた・・・ 「すず・・・みくるちゃん、それは言いすぎですよぉ」(あわわわわ) ハルヒからも意外な言葉が返ってきた。 その後長門、古泉とやってきて、俺は古泉とカードゲームをして遊んだ。 いつも通り長門が本を閉じると朝比奈さんが、 「今日はこれで帰りましょ。解散。」 と言った。 さすがに長門は興味を示さなかったが、古泉も驚いていたようだ。 帰りの途中古泉と歩き、 「ハルヒさんと朝比奈さんが逆のようなんですが・・・」 「俺もそんな気がするんだが・・・まさかまた時空改変とかハルヒが 変な力使ったんじゃないだろうな。」 「その可能性は無いと思います。もっとも、時空改変が行われたか どうかまでは我々にもわかりませんが・・・」 なんとも奇妙な感じのまま1日を終えた。 -みくるサイド- とりあえず涼宮さんになっているので涼宮さんの家に帰った。 一応家族にはばれて無いみたい・・・よかった。 涼宮さんの部屋には初めて入ったけど、普通の女の子の部屋でした。 あれ?机の上に写真立がある。 それを取り上げてみると・・・ (やっぱり涼宮さんたら・・・素直じゃないんだから。くすくす。) -ハルヒサイド- 「これがみくるちゃんの部屋かぁ・・・やっぱ可愛い系の部屋ね。」 私ももっと可愛くしようかしら・・・とか考えたけど柄に無いので やめた。 その日はなんとなく疲れていたので夕食・お風呂を済ませたら 寝ることにした。 (でも、何か忘れている気がするのよねぇ・・・ま、いいか) 次の日、俺がクラスに入るとハルヒがすでに来ていた。 「あ、キョン君おはようございます。」 「ああ・・・おはよう。」 やはりすっげえ違和感を感じる。 しかし、この状態のハルヒを見ると・・・まるで天使のようだ。 「どうかしました?私の顔になにかついてます?」 「いや、べつになんでもないぞ。」 そんなこんなで授業も進み昼休みとなった。 「キョン君、一緒にお弁当食べましょ♪」 「ああ・・・」 そこへ、突然朝比奈さんがやってきて、 「キョン、一緒にお弁当食べましょ。」 「ええ、いいですよ。」 とまあ、結局3人で弁当を食べることになった。 もちろんクラス中の注目の的だ。 谷口なんかは泣きながら弁当を食ってる。 この状況に耐えられなくなった俺は弁当をさっさと食べると、 「ちょっと用事があるんで。」 といってクラスを逃げ出した。 昼休みが終わるまで適当に屋上で時間を潰すか・・・と考えて いると鶴屋さんと出会った。 「お、キョン君。みくる知らないかい?」 「朝比奈さんなら俺のクラスでハルヒと話してますよ。」 「そっか。いやぁ~今日凄いもの見ちゃってさ。」 「何を見たんです?」 「いつものようにみくるにちょっかいだしてきた男子がいたんだよ。 で、あたしが痛い目にあわせようと思ったらさあ、みくるがいきなり その男子にボディーブロー食らわせて肘鉄かました挙句かかと落しで 半殺しにしたんだよね。みくるがいうには『いつも守ってもらってたら 悪いから護身術習ってるの』とかいうんだよね。」 マイスウィートエンジェル朝比奈さんがそんなことを・・・と頭を 抱えていると、 「あとさ、なんかいつものみくると雰囲気が違うんだよね。しゃべり方も 違うし・・・なんていうか邪悪なオーラに包まれてるって感じ?」 まるで今のハルヒと正反対だ・・・ 「キョン君はなんかこころあたりないかい?」 「確かに昨日から2人ともおかしいとは思ってるんですが・・・こころ あたりが無いんですよ。」 「そっかあ・・・何か分かったら教えておくれよ。」 そういうと鶴屋さんは去っていった。 そんなこんなで週末の不思議探索になった。 その間、ハルヒはクラスどころか学校中で天使扱い。朝比奈さんは 悪魔のごとく変わったと学校中にとどろくことになる。 一体どうなてるんだろうなぁ・・・などと集合後の喫茶店でボケッと してると、ハルヒが、 「キョン君、くじで班決めしますよぉ。」 と声をかけてきた。 くじの結果、俺・ハルヒ、長門・朝比奈さん・古泉という構成になった。 さっそく班ごとに分かれて行動するとき朝比奈さんが、 「キョン!デートじゃないんだからね!ちゃんとみつけるのよ!」 とハルヒ張りの言葉でしゃべって来た。 いつもだったら逆なのになぁ・・・と思いつつ、ハルヒと公園へ向かった。 公園に向かうと、突然ハルヒが、 「キョン君!私のことどう思いますか?」 「え・・・ハルヒはハルヒだろ?」 「そうじゃなくて・・・男と女としてどう思いますか。」 俺は一瞬凍りついた。 今までこんなこと無かったぞハルヒ。どうしたんだハルヒ。やはり時空改変 なのかハルヒなどと考えていると、 「女の方から言わせるつもりなの?」 と上目遣いで頬をやや赤くしながら俺のことを見ている。 やばい!これは男として落ちる! 「俺は・・・」 そう言いかけた時、 「ちょっとまちなさいよ!なにやってるのよ!みくるちゃん!」 という朝比奈さんの声が背後から怒鳴り声で聞こえた。 え?みくるちゃん?目の前にいるのはハルヒじゃ? 「ごめんなさい涼宮さん、ちょっと悪戯してみました♪」 「なんてことするのよ!そんなことされちゃったら・・・もごもご」 目の前ではハルヒと朝比奈さんが言い争っている。 そこに長門と古泉がやてきて、古泉が、 「ようやく分かりましたよ。あの2人、人格が入れ替わってるんですよ。」 「そんなばかな・・・」 「この1週間の行動を見れば納得できます。確か最初に異変が感じられた日 2人ともおでこが真っ赤でしたよね。たぶんぶつかったショックで 入れ替わったんだと思います。」 そう考えれば確かに全てが納得がいく。 まさにハルヒの行動は朝比奈さんのものだったし、その逆もだ。 「長門、今の古泉の話は本当か?」 「そう....」 「何で教えてくれなかったんだ?」 「聞かれなかったから。」 「そうだったな・・・ところで2人を治す方法はあるのか?」 「ある。私を媒介して人格を入れ替えればいい。」 これ以上の混乱はごめんこうむりたい。早速長門に、 「2人を眠らせて実行してくれ。ハルヒにばれるとまずいからな。」 「わかった。」 その後長門の働きにより2人の人格は元に戻った。 2人からも入れ替わっていたことを聞き、2人ともやっと戻れたと 言う感じで安堵してるようだった。 「やはりハルヒはハルヒじゃなきゃ似合わんな。」 「なによそれ。もう少しで・・・ごにょごにょ」 「ん?なんか言ったか?」 「なんでもないわよ!バカキョン!」 こうして2人の奇妙な生活は元に戻った。 が、しかしその後の学校での後遺症はすさまじいものだった。 ハルヒは元に戻ったので負のオーラだしまくりで全校生徒は混乱、 朝比奈さんにいたっては「おイタをすると半殺しの目にあう」という 黒朝比奈さんの印象が定着してしまった。 鶴屋さん曰く、 「いやぁ~風除けになってむしろいいんじゃないかい。それにしても みくるの中身がハルにゃんだったなんてね、くくくく・・・」 と大笑いだった。 部室では、 「涼宮さんひどいですよ!これじゃ悪女みたいに思われちゃう じゃないですか!」 「いいじゃない余計な虫も来なくなるだろうし、それにこの間の 事とあわせてチャラよ。」 「ううううう・・・・しくしく。」 と、まあ朝比奈さんが当分の間沈みきってしまったのは言うまでも無い。 ただ1人残念そうにしているのが長門だ。 「朝比奈みくるがうらやましい....」 そういうと長門はハルヒに向かってなんども頭突きをしていた。 さすがに耐え切れなくなったのかハルヒは一目散に逃げて行ったが。 部活も終わり、今部室にいるのはみくるちゃんとあたしだけ。 「さすがに他人になるのはこたえるわね・・・」 「そうですね・・・2度としたくないですぅ。」 その後沈黙が続いた後、みくるちゃんがにんまりとしながら、 「涼宮さん、そろそろ素直になったほうがいいんじゃないですかぁ~♪」 「な、なによいきなり。」 「私見ちゃったんですよね、机の上の写真立て。」 「え・・・。」 (あああーーー忘れていたのはそのことだったわーーーあれ見られたら・・・) 「安心してください、誰にも言いませんから♪」 「え、いや、あの、その・・・」 「それじゃ私も帰りますね。涼宮さん、顔真っ赤ですよ。ふふふ。」 そういうとみくるちゃんは帰って行った。 ああ・・・あれ見られちゃうなんて・・・うかつだったわ・・・ 「もう!何だか知らないけどバカキョンのせいなんだからね!」 おしまい。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5916.html
この仕事で最初に貰ったテキストに書いてあったこと 「時空管理者が恋をした場合の選択肢は、記憶を失うか心を殺すことである」 高校卒業の後、元の時間にもどったわたしはがむしゃらに努力してそれ相応の権限を手に入れました。 そしてあの時代に干渉した結果、規定事項はすべて遵守、今の未来も確定してわたしの仕事は終わりました。 わたしに残ったのは、過去の記憶と現在の管理局トップとしての地位。 ここは広大な敷地にある図書館の館長室。 「機関の提案に対して、情報統合思念体は同調することにした。あなた達の結論を聞きたい」 「わたしたちも賛同します。今回の提案は、こちらにも利あるものですから」 話し相手は長門さん。アカシックレコードとすら評されるこの図書館の館長をしている彼女の正体を知るひとは少なく、知る人にとってはこの建物の二つ名は皮肉ですらあります。 配属前の研修生として一度だけお会いしたときには、その後文芸部室で再会するなんて考えてもいませんでした。 今は、私の交渉相手であり今でも苦手だけれども親友のひとりです。 「あなたは・・・・・・、朝比奈局長は後悔しない?」 彼女はわたしの顔色を伺うようにして問いかけてきました。だから、あたしは表情を変えることなく 「今回の件は、規定事項・禁則事項双方にも該当しませんのでわたしが後悔する理由はありません」 と答えることにしました。そして 「そう」 それは感情のこもった返事でした。 帰宅途中、わたしと彼女は入れ替わってしまったのかもしれないとふと感じました。 昨日からキョン君の、いえ長門さん以外のみんなの様子がおかしい気がします。 涼宮さんはやたら古泉くんを持ち上げるし、普段なら言い返す場面でもキョン君はそっけない態度です。 古泉くんもやけにキョン君に絡んでいる気がします。 「キョン君、どうぞ」 「ありがとうございます、朝比奈さん」 いつもと変わらない受け答えだけれども、キョン君の表情はなにか硬くて心配です。 「なにか困ったことがあるなら、あたしでよければ力になりますよ」 「いえ、何でもないですよ」 どうみてもいつものキョン君じゃないけど、あたしじゃやっぱり力になれないのかなぁ。 「みくるちゃん、おかわり」 「は、はい」 「みくるちゃん、キョンを甘やかしたらだめよ」 「で、でも・・・・・・」 涼宮さんの態度は普段と変わらない、でもやっぱりなにか違和感を感じました。 3人が帰った後、長門さんに聞いてみることにしました。そして聞いたのは予想しなかった事実。 「つまり、涼宮さんはキョン君に嫉妬させるために古泉くんと付き合っているふりをしているということですか」 「そう」 「なんでそんなにキョン君に冷たくあたるのでしょうか」 「涼宮ハルヒは、古泉一樹と付き合う事により彼の意識を向けさそうとしている」 「だが。彼は行動を起こさずにいる」 「涼宮ハルヒは、本心では彼に関係を否定してもらいたいから」 「・・・・・・」 「だから今、わたしは二人の監視を続けている」 長門さんは読んでいた本から目を離し、あたしをじっと見て言った。 「あなたは事実を知ったとして、なにができるの」 あたしはなにができるのだろうか。 次の日の放課後。 「おまたせ!」「ハルヒ、ドアがそのうち壊れるぞ」「いちいちうるさい!」 最後に涼宮さんとキョン君がきました。あたしもさっき着たばかりでまだ着替えていません。 「あれ?みくるちゃん、まだ着替えてないの?じゃあ、キョンと古泉くんはそとでまっていなさい」 昨日の長門さんの話をきいたので、涼宮さんを直視できないです。二人の問題であたしが干渉することじゃないんだけど。 長門さんが本を閉じ、先に帰ってしまいました。みんなも帰宅準備をしているときに古泉くんが涼宮さんに話しかけます。 「涼宮さん、このあと少しお時間いただけますでしょうか」 「どうしたの、古泉くん」 「いえ、お話ししていたお店で夕食をご一緒にいかがかと」 涼宮さんはキョン君をちらりと見ました。やっぱり止めて欲しいんだろうなぁ。 「ん?どうしたんだ、ハルヒ」 キョン君は鈍感です。視線をはずし 「そうね、じゃあ古泉くん。お願いするわ」 そう答える涼宮さんの声は、あたしには嬉しそうには聞こえないなぁ。 「涼宮さんと古泉くんどうしてますかね?」 二人がいなくなった後、ちらっと呟いてみました。 「あの二人だから・・・・・・うまくやってるんじゃないですか?」 「キョン君はそれでもいいの?」 彼があたしをじっと見て言葉をつなぐ。 「朝比奈さん。あいつがそれでいいなら俺は何も言わないです」 「じゃあ・・・・・・、なんでそんなに悲しそうな顔をしているの」 「・・・・・・」 「朝比奈さん、それがあいつの望みなら俺は何も言えないですよ。」 あたしにできることって。 「キョン君。あたし、今までキョン君に迷惑をかけたりしました・・・・・・」 「朝比奈さん?」 「あたしじゃ力になれないかもしれませんが、あたしキョン君の事が心配なんですぅ」 彼はあたしの言葉を聞いて少し寂しそうにした。その後、彼は決心を固めたのかあたしを見つめて・・・・・・ 「俺、朝比奈さんを頼ってもいいですか」 「はい。よろしくお願いします」 そのときからあたし達は付き合い始めました。最初は支えあうというほうが適切だったかもしれないけど。 あれから一夜過ぎて。朝、定期通信の内容を確認しています。 「1」 「システム更新のために通信が数日間不通になります。その間は各管理者の判断で対応してください」 「先に連絡していたとおり、各自転居をお願いします。住居確定後、速やかに連絡ください」 ああそうか、昨日通信しても返答がなかったのはそういう理由だったのかぁ。でも『1』ってなんだろう。 転居かぁ・・・・・・今住んでいる所が契約更新の時期だからちょうどよかったかも。そういえばこのまえ鶴屋さんに相談したときに 「それなら、あたしにまかせるさ~」と言われたけどそのあとどうなったのかなぁ。今朝にでも確認してみるかなぁ。 うん、できれば・・・・・・キョン君と一緒に帰れる範囲が良いなぁ。 あたしには、何より気になる一文があって、「現状維持で観察を続けてください」とのこと。 禁則事項だと聞いてはいなかったけど本当に良いのかなぁ、とつい首を傾げてしまうのでした。 「鶴屋さん、おはようございます」 「みくる、おはよう。きょうもかわいいねぇ~」 ハイキングコース(キョン君命名)の入り口付近で、鶴屋さんと鉢合わせです。やっぱり朝から明るいオーラがあふれています。 昨日のことはお昼に話そうかなと思っていたら、鶴屋さんから話を切り出してきました。 「そうだ、みくる。この前の話、転居のことだけど、どうせだからあたしんちに住むというのはどうだいっ。」 鶴屋さんのご自宅はすごく広い屋敷で以前(みちるとして)お世話になってたこともあります。 「以前泊まってた、あれちがったか、うちの離れだったらみくるが住むには十分だと思うさっ。食事はせっかくなんでみんなで一緒に食べよう」 「じゃあ、お願いしようかなぁ・・・・・・」 使用人の方々も一緒に住んでいた彼女の屋敷ですが、そういえば食事はみんなで集まって頂いていました。「ごはんはやっぱりみんなで一緒に食べたほうがおいしいから」という理由だと当時聞いたような気もします。 「それならさっそく明日にでも引越ししようか。うちまでキョン君なら自転車で来れる距離だから」 鶴屋さんの勘のよさにすこし驚いたり。まだ何も話していないのにキョン君の名前が出るのだから。 「どうせだし、全部あたしにまかせるにょろ。みくるの悪いようにはしないさぁ~」 「お、お願いします」 ま、まああたしは自覚したくないけどみんなからどじっ子と言われているのでやはり任せたほうが安全ですね・・・・・・書いてて悲しくなってきた、しくしく・・・・・・。 お昼休み。重要な話なので他のお友達のお誘いは辞退して、鶴屋さんと中庭でお弁当を突きながら話すことにしました。 たまには二人だけでお弁当もいいと思いませんか。「デートのお誘いかいっ(by 鶴屋さん)」 「へっ?ハルにゃんじゃなくてみくるがキョン君と交際?しかもみくるから告白???」 昨日の話をしているのですが、鶴屋さんが話を聞いている間ずっと呆然としてるのはなんででしょうか。 「え、う、うん・・・・・・」 まるで探偵が被疑者を問い詰めるようにして確認してきます。 「キョン君は確かにああ見えて結構ポイント高いと思うし、みくるに好意があったのは知ってるけど・・・・・・まじかい、お嬢さん?」 「う、うん」 そう聞かれるとうなずくしかできないです。 「ところで、ハルにゃんはそれ知ってるのかなぁ?」 「放課後に話そうと思っているのですが、どう切り出そうかなぁと」 そう、それが放課後の一番の心配事なんです。不思議探しで二人きりになった時ですら、あれだけ騒ぐあの涼宮さんがあっさり納得してくれるとは思えない。 鶴屋さんはお嬢様で立場上いろいろと会話技術もあるだろうし、なにかアドバイスをもらえたらいいなぁと。 「いいかい、その話は絶対にみくるからするんだ。キョン君にさせては駄目だよ」 鶴屋さんはさっきまでおちゃらけな雰囲気をがらりと変えて真剣な表情で言いました。 「は、はい」 たしかに、キョン君が話したら以前のように閉鎖空間で二人きりとか。そんなのはいやだ。 「強気で話す、そうしないとハルにゃんにはぐらかされてしまうからねぇ」 「はい」 「じゃあ、放課後はキョン君をあたしが引き止めるからがんばるにょろ」 話は終わりとばかりに弁当からを片付けながら、態度をさっきのおちゃらけな雰囲気に変える彼女。同じ年齢のはずだけどあたしにはまねできないです。 「そうだ、これからはキョン君の家で夕飯食べてうちに送ってもらいなよ~」 「そ、そうですね」 からからと笑う彼女をみるとなんだかうまくいく気がしてきました。 「自転車に二人乗りかぁ。青春だな、すこし妬けるねぇ。あはははは」 その光景を思い浮かべたあたしを指差して笑う彼女。顔が真っ赤になってるのかなぁ。 悩んでいたあたしに元気と勇気をくれる鶴屋さんは、大切な親友です。 <その4> 放課後。SOS団の部室に入ると、キョン君以外みんながそろってました。 「キョンは鶴屋さんが用事があるって連れて行ったわ」 パソコンの画面を眺めながら不機嫌そうなオーラを出しつつ涼宮さんはそういいました。 「えっと、涼宮さん。話があるのですが」 ここに来る前に考えてたとおりに話を切り出します。 「どうしたの、みくるちゃん。そんなまじめな顔をして」 「あたしの彼氏が見つかったら、涼宮さんが面談するって言ってたので報告します」 面白いことを見つけたとばかりに満面の笑みを浮かべて、涼宮さんが席から立ち上がってあたしに抱きついてきました。 「みくるちゃん、いい人がみつかったの?ねぇ、だれ?だれ?」 どうみてもおもちゃをねだる子供みたいだなぁと一瞬思いました。あたしはこの子供をおもちゃから引き剥がすのに。 「キョン君です」 予想はしていたけど、涼宮さんはぴたっと硬直し部室の空気が凍りました。 「へ?キョン?何の冗談?」 涼宮さんは少し離れてあたしの顔をじっと見つめています。 最初は冗談と思ってたのかきょとんという雰囲気が、にらみつける感じに変わり、かわいそうな人を見る目で話し始めました。 「みくるちゃん、そういうのは冷静にならなきゃだめよ」 その後に続くのは普段のキョン君への愚痴を並べたような内容。 「キョンのどこが良いわけ?気が利かないし、使えないし、ぱっとしないし、いろいろ鈍い。容姿も悪くはないけど普通だわ。優柔不断なところもあるし、キョンにみくるちゃんはもったいなさ過ぎるわ。それに・・・・・・」 今までは涼宮さんとキョン君の口げんかと半分流していた内容、でも今は聞いてて不快にしかならない。 そもそも、涼宮さん自身そうは感じていないのになんで素直にならなかったのだろうか。 「やめてください!」 気が付けば、叫んでいました。 「好きなんです。キョン君がOKしてくれたんです。あたしの彼を悪く言わないでください」 鶴屋さんは強気でと言ったけど、あたしは自分の感情を泣かずに言うのが精一杯。この程度で泣いたらキョン君の力になれない。 「そ、そう。ま、まあみくるちゃんがそういうなら・・・・・・。あたしとしても交際を応援するわ」 続いた沈黙のあと、涼宮さんはしばらくして声を搾り出すようにして、そうつぶやきました。 きまずい空気が悪いまま長門さんが本のページをめくる音だけが聞こえてきます。 「きょうは調子が悪いから帰るわ。最後の人は鍵よろしくね」 涼宮さんは空気に耐えられないのか逃げるようにドアを飛び出して、その直後キョン君と鉢合わせたみたいで 「遅れてすまん、鶴屋さんに雑用を頼まれて・・・・・・ってハルヒどうした?泣いているのか?」 (ドンッ)←なにか壁に当たる音 「いってえ。なんで突き飛ばされないといけないんだ。わけがわからん」 入れ替わりキョン君が入ってきました。 「いったいどうしたんだ?なにかあったのか?」 キョン君の問いにいつものスマイルで古泉君が答えました。 「別に。朝比奈さんがあなたとの交際のことを涼宮さんに伝えただけですよ」 「・・・・・・そうかい」 憮然とするキョン君。 「詳しいお話は明日にでも聞かせてください。僕はこれからバイトですから」 閉鎖空間の発生。今回は間違いなくあたしが原因。 「ごめんなさい、古泉くん」 「気にしないで下さい、朝比奈さん。涼宮さんはあなたのことを嫌いにはならないでしょうから」 そうだったらいいのだけど。あたしとしてもSOS団は居心地のいい場所、涼宮さんは納得してくれるだろうか。 キョン君と一緒に帰っているとき今日の出来事を伝えました。 「だから鶴屋さんはそういう理由で俺を呼んだのですか。朝比奈さんありがとうございます。ハルヒには俺から本来伝えるべきだったけど、放課後まで切り出すことができなくて」 せっかく一緒なのになんか空気が悪いので、引越しの話あたりで話題を変えよう。 「明日、鶴屋さんの家に引っ越すんですよ。前お世話になった離れを使っても良いって」 キョン君は2月のことを思い出しているのかすこしぼんやり考えて 「あそこならうちから散歩できる距離ですから、帰りに送って行くこともできます」 「じゃあ、引越ししたらお願いしようかなぁ~」 よかったぁ~、いつもの感じに戻った。内心ほっとしながら微笑むあたし。 それから、これからの事を話していると駅に着いてしまいました。 もう少しキョン君とお話したかったなぁ~・・・・・・そう思っていると 「明日からはもっと一緒に居れますよ」とキョン君が言ってくれました。 あたしも、明日を楽しみにしながらキョン君と別れて改札に入りました。 昨晩はキョン君と長電話してたので、鶴屋さんからメールが来ていたのに気が付かなかったのです。言い訳ですけどね。 だから今朝インターフォンがなったので、来客を確認すると、 「ひ、ひぇぇぇぇぇぇぇ」 え、えっと鶴屋さんが一人堂々とドアの前に立ち、その後ろに整列した集団。皆さん真ん中に『つ』と書いた作業服を着ています。 ドラマで見る家宅捜索の現場みたいですけど、あ、あたしは何もわるいことしてませんよ。 「おはよう~みくる~。メールしたとおり、引越しはじめるにょろ」 とりあえずドアを開けないと・・・・・・ロックがあかない。 「えっ、えっと何事ですか」 「メールみてないのかい?」 うんみてない、そう答えると簡単に説明してくれました。 「部屋の中身を全部移動させて学校に行くときにそのまま部屋を引き払えるようにするって書いたんだけどさ」 あたしですか?朝食食べながらTVを見ていましたよ。まだ7時ちょっと過ぎですから。当然顔は洗ってますが準備はしてません。 仕方ないので業者さんは一度車にもどってもらって、鶴屋さんにはあがってもらいます。 部屋の中をさっと見て、話を続けます。 「んじゃ、鍵をあずけていてもらえるかいっ?部屋のものをそのまま移しておくから今夜から離れに住めるようにしておくさ」 「ところで、今朝はイチゴジャムを食べてたのかなっ、ほっぺたについているよっ」 「うぅ・・・・・・」 一緒に家をでるときに鍵を業者の方に預けました。さようなら、今朝まで過ごしたあたしのおうち。 「どうしただい、みくる」 「長く住んでたお家を離れるので少し寂しく思っちゃって・・・」 そうだね、そういって鶴屋さんは進みます。あたしは後ろを振り返って 「いままでありがとう」 とだけ。 そうそう。夕方、これからお世話になる鶴屋さん宅の離れに行ったあたしが、朝の状態をそのまま移動させた部屋を見て驚きで腰を抜かしたことはみんなには黙っててくださいね、鶴屋さん。 メイド服に着替えて最初の仕事はみなさんにおいしいお茶を飲んでもらうことです。 昨日キョンくんと一緒に出かけた際、お店で薦められたのは「青柳」というお茶。キョンくんにも受けがよかったので、今日はこれに一緒に買ってきたあられをお茶請けに出しましょうか。 長門さん、古泉くんとキョンくんは熱いままで、涼宮さんはぬるめに。 これは長門さんの湯のみ、古泉くんとキョンくんのはこっちにおいて、と。 「お茶です、どうぞぉ~」 「あ、どうも」 古泉くんとゲーム中だったキョンくんは(あたしの両手がふさがっていたため)手を休めて、お盆からお茶とあられを取ってくれました。お茶をかるく冷まして一口飲んだ彼は、あたしを穏やかな表情で見つめて 「ありがとうございます。おいしいですよ」 とお礼を言ってくれます。このやさしい表情があたしは大好きだなぁ。 「いえいえ」と答えつつ笑顔で微笑み 「キョン君に喜んで貰えるのであたしも・・・・・・」と心の中で呟いてます。 「はい、どうぞ~」 「ありがとうございます、朝比奈さん」 古泉くんは、普段の微笑みの表情でお盆から取ってくれます。 長門さんは読書中なので手元にそっとお茶とお菓子を置いておきます。 「涼宮さん、どうぞ~」 「・・・・・・」 お盆を置いて、いつもの場所に湯飲みとお茶請けを置きます。PC画面に注視しているのか、涼宮さんはあたしに気がついていないようです。涼宮さんはお茶を一気に飲むため、すぐ湯飲みが空になります。あとで確認しないといけないなぁ。 「みくるちゃん、ちょっとこっちにきて」 涼宮さんが席から呼んでいます。「は~い」と返事して向かってPCを覗き込むと 「はにゃぁ!!!!!!!」 どうみてもコスプレ衣装の購入サイトです。 「このパンダの気ぐるみもいいわね。チャイナ服は以前着たがってたっけ?あ、あとうちセーラー服だからブレザーもいいわ」 「・・・・・・」 声には出していないけど18歳未満お断りなものもあります。 「おい、ハルヒ。朝比奈さんが嫌がってるだろ。ほどほどにしとけ」 がんばって、キョンくん! 「みくるちゃんはあんたの彼女である前にSOS団の団員よ。かわいい萌えキャラにかわいい衣装を着せるのは正義なのよ」 「え・・・え・・・。正義なんですかぁ~?」とハルヒの言葉に戸惑うあたし。 「まあ、それが正義なのは全く同意するところであるが」 負けちゃだめ、がんばって! 「ふん、この部屋でデレデレするのは団長であるあたしが許さないわ。でも、みくるちゃんはメイド服が本当に似合ってるわねぇ」 そういうと涼宮さんは席を立ち、抱きついてきました。 「こんなにかわいいし、いろいろな服を着せて楽しみたいって思うのは人として当然なのよ」 「だめですぅ。やめてくだしゃーい」 まともに返事できないけど、やめてくださーい。 「大丈夫ですか、朝比奈さん」 数分後。はぁ・・・・・・疲れました。キョンくんが割ってはいって止めてくれたけど、涼宮さんはやはり怖いですぅ。 ところで、さっきの会話でちょっと気になったことがあるので聞いてみよう。 「キョン君、これからあたしを『朝比奈さん』ではなくて『みくるちゃん』と呼んで貰えませんか?」 「どうしたんですか、急に」 「涼宮さんを名前で呼んでいるのに、あたしを苗字で呼ぶのはなにかおかしいんじゃないかなぁ」 言ったあと、『これは嫉妬なのかぁ』と思ったけどこの程度のわがままは当然の権利ですよねぇ。 「そうね、たしかにみくるちゃんのいうとおりだわ。キョン、そうしなさい」 涼宮さんの援護射撃もあり、キョンくんは 「みくるちゃん、みくるちゃん・・・・・・」 と呟き始めて、意を決してあたしの顔を見て 「え、えっと、みくるちゃん」 「はい!」 ・・・・・・キョンくんは硬直して顔が赤くなっていき 「朝比奈さん、ごめんなさい、無理です。せめて呼び捨てで良いでしょうか」 「もちろん、それでも大丈夫ですよ」 「じゃあ、み、みくる」 「はい、キョンくん」 そのまま二人はっずっと見つめあい、そしてほぼ同時に噴出しました。だって、キョンくんが面白いんだもの。 そのあと、耳元でこっそり 「じゃあ、二人きりのときにみくるちゃんって呼んでくださいね」 と冗談を言ってみたんだけど。自分で照れてキョンくんの顔を見れなくなってしまいました。 「涼宮さん、僕達も名前で呼び合いませんか」 「あたしは別に気にしないわ、『古泉くん』」 「そうですか」 古泉くんのいつものスマイルがすこし悲しそうに見えましたが。気のせいですね。 「涼宮も古泉のわがまま聞いてやればいいじゃないか」 「へ?」 キョンくんの提案に、涼宮さんはぽかーんとしていますが。あれ?どうしたんでしょうか。 「どうした?俺なにかへんなこと言ったか?」 「なんで苗字で呼ぶの・・・」 涼宮さんはぽかーんとした表情のまま答えています。 「さすがに彼氏もちの女性を名前で呼んだら、変に疑われるだろ。俺なりに気を使わないといけないと思っただけだ」 「僕は気にしませんよ」 「周りが気にするんだよ」 キョンくんが古泉くんを軽くにらんで話している時に、一瞬悲しげに曇った表情になったことにあたしは気づいてしまいました。 その2につづく
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/47.html
キョン「ぶっちゃけみくるは整形だろ。」 古泉「僕もそう思います。」 長門「そう。」 みくる「禁則事項です。」 みくる「私が出れば視聴率が上がるんですから、もっと出番増やしてください」 ハルヒ「ヒント 人気」 長門「巨乳は必要ない」 みくる「……」 長門 「………ぺたぺた」 キョン 「おい、長門。朝比奈さんの体みてなにやってるんだ?」 長門 「うぎゅ」 朝比奈 「ふぇっ!?」 キョン 「おいおい抱きしめるなよ。むしろ俺がやりたいくらいだ。」 長門 「マッスルドッキング」 キョン 「マッスルドッキングは一人じゃできないぞ・・・って朝比奈さんに何してるんだてめーっ!!」 長門 「カレー食べて。」 みくる 「い、いただきます。」 キョン 「あぁ。」 長門 「じーっ」 キョン 「おい、長門。みくる見て何してる?」 長門 「ぺちゃぺちゃ。」 みくる 「あぅ~」 キョン 「おいおい、カレーのルー。そんなに作ってどうしたんだ。しかも、朝比奈さんにかけてえええええええ!?」 長門 「朝比奈カレー」 みくる「長門さん、お茶です」 長門「・・・・・」 みくる「はぁ、まだみんな来ませんね~」 長門「・・・・・」 みくる「・・・・・・」 長門「・・・・・ホットケーキは」 みくる「え?」 長門「ホットケーキは生のままが最も美味しい」 みくる「え、えぇ~!?ほんとですか~?それじゃあ今度試して・・・」 長門「嘘」 みくる「え」 長門「・・・・・」 みくる「・・・・・」 キョン「こんちわーって、何この微妙な空気・・・」 長門・みくる「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 長編・罪滅ぼしを読んで キョン「ちょwwwww俺殺されてるwwwwwwwヒドスwwwwwwwww」 ハルヒ「もう一回吊ってこい」 長門「構ってちゃんウザー」 古泉「死ね。氏ねじゃなく死ね」 キョン「うはwwwwwwwwwwwwwwww」 朝比奈「皆さんなんて事言うんですか!キョン君大丈夫?」 ハルヒ「空気嫁」 長門「馴れ合い厨ウザー」 古泉「はいはいワロスワロス」 キョン「そんな事よりサメの話しようぜ」 朝比奈「・・・・・」 ハルヒ「死ね死ね死ね死ね死ね死ね」 朝比奈「えっ!?」 長門「殺してやる殺してやる殺してやる」 朝比奈「(ビクッ)な、長門さん…」 キョン「死ね死ね死ね死ね」 朝比奈「ふみゅ~、キョン君まで…」 古泉「死んじまえ死んじまえ死んじまえ」 朝比奈「古泉は死~んじ~ま~え~♪」 鶴屋「通報しますた」 鶴屋さん「ぷくくくくっ…」 キョン「あれ?鶴屋さんじゃないですか。こんなとこで奇遇ですね」 鶴屋さん「や、キョンくん…ふふふっ。ひゃははっ」 キョン「ってなに笑ってるんですか?」 鶴屋さん「いやいや、くくっ…実はさっきみくるが池に落ちちゃってねぇ」 キョン「ええ!?」 鶴屋さん「それで慌てて上がろうとしたらつかんだところが腐ってて、 またジャパーンって落ちちゃって、ふははっ」 キョン「それは災難でしたね」 鶴屋さん「それだけじゃなくて、つかむところつかむところ全部腐ってるのさ。 何度も同じこと繰り返すなんて、みくるドジっ子だよねえ、くくっ」 キョン「朝比奈さんらしいというかなんと言うか…でも笑い話ですんで良かったですね」 鶴屋さん「うん、まだそこで同じこと繰り返してるよ。あっはっはっは!」 キョン「それは笑い事じゃない!」 ハルヒ「みくるちゃん、お茶ー!」 みくる「はい、ただいま。どうぞ」 ハルヒ「何これまずいんだけど」 キョン「おい、せっかくいれてくれたのにそれはないだろ」 キョン「うげ!!朝比奈さん、何入れたんですか?とんでもない味なんですけど」 みくる「隠し味でトリカブト入れただけですよ♪」 ハ・キ「うえ゛ー」 長門「………」 みくる「はい♪長門さんお茶でーすよ~」 長門「………」ペラッ みくる「みんな遅いですね」 長門「………」 みくる「そうだ♪長門さんこのメイド服着てみませんか?」 長門「………」ペラッ みくる「なんで無視するんですか!?」 長門「…あなたに興味ないから」パタン トテトテ ガチャッ バタン みくる「………みんな遅いなぁ…」 朝比奈「ダッダダーーーーン! ボヨヨンボヨヨン!!」 ハルヒ「(;^ω^)」 古泉「(;^ω^)」 長門「(;^ω^)」 キョン「死ね」 べしべしっ、バシッ!! ズゥウウン!! みくる「クハァァア!!」 キョン「死ね!市ねっ、死ね!」 ベシベシベシッ ベシベシベシベシバシバシッ!!! みくる「うううう!!」 ビュウウウン!(空中投げ) デュゴオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!! ハルヒ「今日はみくるちゃんのあだ名を考えるわよ! やっぱり萌えキャラには常識で考えたら卒倒しちゃうくらい奇抜でアマアマなあだ名が必要よね? で、何か良いアイディアは無いかしら?ね、キョン」 キョン「いきなり言われてもだなぁ…朝比奈さんは何かリクエストとかありますか?」 みくる「ふぇ? ひぇ ひょえーっ」 古泉「白痴などどうでしょうか?」 キョン「悪口じゃねえか!」 古泉「ならばミルク☆ちゃんとか」 ハルヒ「いいわねそれ!」 キョン「呼ぶ方の身にもなれ」 ~それから一時間後~ 長門「………おーい、お茶」 みくる「ぴょ?あ、ひゃい、すぐ煎れますね」 長門「違う。あなたの、あだ名。おーい、お茶」 キョン「さ、さすが長門だ!それなら違和感無いもんな!」←(もう帰りたかった) 古泉「その発想はありませんでしたよ」←(みくるに興味無い) ハルヒ「なら決まりね!今日からみくるちゃんのことは“おーい、お茶”と呼ぶことにするわ!ってことで本日は解散!」 みくる「ふぇ~そんなぁ~」 ハルヒ「そうそう、明日みくるちゃんのクラスの人にもそう伝えとくから!やっぱりあだ名はみんなに呼んでもわらなくちゃね!」 みくる「ふえ~キョンく~ん」 カモン れっつだんす! カモン れっつだんす! べいび~♪ ハルヒ「歌うな音痴」 古泉「ダッマーレ」 キョン「ちょっと、静かにしてください」 長門「……雑音」 みくる「鶴屋さんは笑ってくれたのに…」 朝比奈さん(大)「キョン君……久しぶり」 キョン「は?誰だテメェ、俺はおまえなんか知らねえよ」 朝比奈さん(大)「朝比奈みくる本人です。ただし、あなたの知っている私より、もっと未来から来ました。……会いたかった」 キョン「じゃあ帰れよ」 朝比奈さん(大)「えっ!?」 キョン「カエレ!カエレ!」 朝比奈さん(大)「………」 鶴屋「先生~、おっぱいが邪魔して授業に集中できないです~」 先生「なに~、朝比奈ぁ!廊下に立ってろ!」 みくる「WHAT!?」 鶴屋「m9(^Д^)」 ハルヒ「忘れちゃダメ、忘れちゃダメー未来はーパラダイス」 キョン「歌詞違うぞ」 長門「私にもーただひとつのー願望がー・・・・・・」 キョン「覚えなさい!」 みくる「まわるー世界の」 キョン「ごめん、知らない」 ハルヒ「何この流れ」 長門「取り合いばかり・・・・・・」 みくる「・・・・・・」 キョン「俺まで取られるぞ」 古泉「あ、それ僕です。」 キョン「アッー!お前かよ!」 みくる「・・・・・・」 ハルヒ「あっ!誰よ!私を奪おうなんて人は!?」 キョン「別にいいじゃねぇか、お前を欲しがる奴がいてよwwwwww」 ハルヒ「何よ!私は・・・・・・」 キョン「ん?」 ハルヒ「なんでも・・・・ないわよ」 古泉「ハッハッハ、顔が赤いですよ涼宮さん」 みくる「・・・・・・」 ハルヒ「わーすれちゃだめ、わーすれちゃだめ、みらいわーパーラーレールー」 キョン「ヒューヒュー」 古泉「上手いですよ」 長門「わたしにもーただひとつのーがんぼおーがーあーるならー」 キョン「ピューピュー」 古泉「上手ですよ」 みくる「まわるーせk」 キョン「古泉、この歌知ってる?」 古泉「はじめて聞きました。」 「胸なんて飾りです!高校生にはそれがわからんのです!」 「あーあ、また始まったわよ、スモークチーズで口ふさいどいて」 キョン「ちわー。あれ、長門だけか」 みくる「・・・」 長門「朝比奈みくるもいる」 キョン「あ、本当だ。すいません。朝比奈さんて空気だからわかりませんでした」 みくる「空気ってことはいてあたりまえの存在ってことですよね」 キョン「違うね」 鶴屋「みくる知ってる?みくるみたいな人のことを人殺しって言うっさ! キャハハハハッ 人殺し!人殺しぃ!」 みくる「ち、違っ! 私はそんなつもりじゃn 鶴屋「ふ~ん人殺しのくせに口ごたえするんだっ? これはお仕置きが必要にょろwww」 ビクッ みくる「い、いや…もう怖いのはいやなの、許しっ、許しでぇ…いやああ゙あ゙あ゙あ゙ぁぁ……… 朝比奈みくるの人形、近日公開予定にょろ。 めがっさ楽しみにしてるっさ↓ みくる「はい、キョンくん。お茶です」 キョン「すいません、いらないです」 みくる「えっ、…そ、そうですか。長門さん、どうぞ」 長門「……いらない」 みくる「ふぇっ、こ古泉君。お茶は―――。」 古泉「遠慮しておきます」 みくる「すっ涼宮さん…」 ハルヒ「いらないっ。ていうかみくるちゃんの存在自体がいらない」 みくる「…ふぇ、グスッ…グスッ。今まで、お世話になりました……さよぅなら…」 ガチャッ バタンッ みくる「あの~キョンくん。一緒に観覧車乗りませんか?」 キョン「…いいですよ」 みくる「ふわぁ~きれ~」 キョン「そうですね」 みくる「キョンくん。その後は?」 キョン「何の事です?」 みくる「わかってるでしょ~」 キョン「わかりませんね」 みくる「普通は君の方が…って言うじゃないですか。もう!女の子に言わせないで下さいよ!」 キョン「それはねーよWW」 みくる「( ゚д゚ )」 ミクル「みっ、ミクルビーム」 ユキ「…馬鹿らしい」 ミクル「ゆ、ユキさん!ひどいですぅ~」 ユキ「…ぶりっこ」 ミクル「そんなことないですぅ~」 ユキ「…はぁ」 ミクル「うぅ…」 ハルヒ「カァァーーットォーー!!!」 ハルヒ「駄目じゃない有希!これは映画なんだから!」 長門「…すまなかった」 みくる「い、いいですよ、謝らなくて」 ハルヒ「本音言っちゃ」 長門「前言撤回」 みくる「禁則事項ですっ♪」 キョン「はぁ?」 ハルヒ「はぁ?」 長門「はぁ?」 古泉「はぁ?」 鶴屋「はぁ?」 朝倉「はぁ?」 キョン妹「はぁ?」 谷口「はぁ?」 国木田「はぁ?」 阪中「はぁ?」 岡部「はぁ?」 コンピ研部長「はぁ?」 喜緑「はぁ?」 新川「はぁ?」 森「はぁ?」 多丸兄弟「はぁ?」 シャミセン「にゃあ?」 みくる「……クスン」 古泉「あなたはまるでSOS団の女の子三人全員と付き合ってるように見えます」 キョン「古泉、お前からかってんのか?それは違うぞ」 古泉「ふふ、あなたならそう言うと思ってまs」 キョン「三人じゃない、朝比奈を除く二人と付き合ってるんだ」 古泉「そっちかよ!!」 みくる「ふ…ふぇぇーん」 夏休み初盤ぐらい 電話中 鶴屋さん「みくるー、ちゃんと宿題終わったにょろ?」 みくる「え、ええとまだ・・・全然」 鶴屋さん「だろうと思ったよ、私もまだだから明日うち来て一緒にやらないかい?!」 みくる「いいですよ、わかりました。明日ですね」 鶴屋さん「じゃあ明日ね」がちゃ 次の日 みくる「鶴屋さーん来まーしたよー」 鶴屋さん「やあなんだみくる来てたのかい、それならインターフォン鳴らしておくれよ」 みくる「へ?なんで柱が喋ってるんですか?」 鶴屋さん「ささ、あがってちょうだい!」 みくる「はーい、わあ広いですねぇ」 鶴屋さん「へっへっへー、私部屋はここだからっ。それと実は私もう数学は終わってるんだよねーみくるは?」 みくる「わ、私はまだまだですぅ」 鶴屋さん「さすがポンコツwwwwwwww」 みくる「とつぜんなんですか?」 鶴屋さん「サーセンwwwwwwwww」 みくる「もういいですぅ帰ります!」 鶴屋さん「またのご来店お待ちしております」 Q、朝比奈みくるをご存知ですか? ハルヒ「誰だっけ?」 キョン「そんな人居たか?」 古泉「思い出せませんね。」 長門「検索しても見つからない。」 みくる「完全に忘れられてる~・・・(泣)」 「ピーマンきらーい」 「ちゃんと食べないと、朝比奈さんみたいになれないぞ」 「ふぇ~…こんな天然かつ嫌われキャラになるくらいなら、絶対に食べん!食べんぞワシは!」 みくる「しくしく」 「ひっやーあ! これがSOS団って奴かい! あれ? でもみくるが居ないよっ?」 「みくるなど飾りです! 偉い人にはそれがわからんのですよ!」 キョン「朝比奈さん」 みくる「なんですかぁ?」 キョン「年とったら垂れますよ」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3502.html
俺がハルヒと付き合い始めたころ、どういうわけか、長門と古泉も付き合い始めていた。 そして、いつのころからか朝比奈さんが少し元気がなくなっていたころの話だ。 ハ「最近、みくるちゃんが一人ぼっちになってるみたいね。」 み「一人だけ寂しいですぅ~」 長「…SOS団は男女比2:3。どうしても誰かが余る。」 み「わ、わたしはあまりなんでしゅかぁ~うぅぅ」 ハ「そういってもねぇ。キョンはあたしのものだから仕方ないし…」 長「古泉一樹も私のもの。」 ハ「有希~。いうようになったわねー」 長「…別に。」 ハ「そうね、みくるちゃんだけ一人って言うのも可哀想だし、キョンも古泉くんも1/3ぐらいはみくるちゃんに貸してあげましょう!。有希、かまわない?」 長「あなたがそれでいいなら。かまわない。」 み「(ちょっと納得いかないけど)あ、ありがとーございましすぅ」 ちょっとみくる救済保守 ハ「みくるちゃん!ついでだから、1日団長もやってみる?」 長「…やってみたい。」 ハ「有希…あなたじゃないわよ、みくるちゃんよ」 長「…残念。」 み「え…ぇぇぇぇぇ、涼宮さん、いいんですかー?」 ハ「1日ぐらいたまにはいいわよ。みくるちゃんは団に貢献してくれてるからねー。」 み「わかりました。わ、わたしっがんばりましゅ!」 コンコン ?「はぁぁぃ」 キ「ちわーっす……こんにちは、あさひ…って、ハルヒか」 ハ「こんにちは、キョンくん」 古「こんにちは。おやっ、今日は涼宮さんと朝比奈さんが入れ替わってるんですか?」 ハ「そーよ。日ごろの感謝ってことで、みくるちゃんに1日団長をやってもらうことにしたの!」 み「よろしくおねがいしまーす」 キ「そりゃまた……いいアイデアだな」 ハ「でしょー?たまにはこういうことがあってもいいと思ってたのよー」 キ「そうか…で、ハルヒ。団長の命令は絶対、だったよな。」 ハ「そーよ?それが何か?」 キ「今日は朝比奈さんが団長だったよな。」 ハ「さっきもそういったじゃない!」 キ「で、今日はお前はマスコットキャラ兼副副団長っと。」 ハ「ま、まぁ、そういうことになるわねぇ…何よ?」 キ「なら、お前はメイド服に着替えて、みんなにお茶を入れて、俺の横に座って、胸をじろじろ見られて、たまに団長のセクハラ胸揉みにおとなしく耐えなければならない。」 ハ「なっ」 キ「そうなるわけだな。というわけなので、古泉、廊下に出ようか。朝比奈さ、もとい、団長!この萌えマスコットキャラを強制着替えさせてください。」 み「は、はぁぁい」 ハ「ちょ、ちょっとみくるちゃん!?」 ちょっとみくる救済保守(なんかキョンが黒い?w) み「今日は団長ですので、日ごろ涼宮さんがわたしにしてくれていることをしてあげますねー。」 み「あ、キョンくん、古泉くん、別に廊下に出なくてもいいですよ~w」 み「今日一日だけですから、下着を見られるバージョンもついでにやりますからー!w」 ハ「み、みくるちゃん!?」キ・古「あ、朝比奈さん!?」 み「涼宮さ~ん?どれだけはずかしーですかー?w」 ハ「ちょっと冗談は…」 キ「ハルヒ、そこは「ひょぇぇぇぇぇ~~~~」か、「キョンくん見ないで~」なんじゃないのかぁ?」 ハ「キ、キョンー、あとで覚えてなさいっ。み、みくるちゃんも明日はひどいからねっっっっ」 古「彼は「あとで」で、朝比奈さんは「明日」ですか。涼宮さん、相変わらず仲のよろしいことでw」 ハ「古泉くんまで…」 長「…いっちゃん、『あとで』…?(キョンのほうをみて首をかしげる)」 古「?」 キ「長門、「腰が抜けるまでやってあげるからっ!」っていえばいいと思うぞ?w」 長「…いっちゃん、『あとで』腰が抜けるまでやってあげるからっ!…これでいい?」 古「ちょ…っと、長門さん…あなたも、ほどほどにして置いてください…」 キ「お前だけ楽になろうなんて許さん!w 長門、あとで限界までやってやれ!w」 長「…わかった。」 み「きっ、今日はわたしが団長なのでー、無視しないでほしいですー」 キ・古「あ、すいません、朝比奈さん」 ハ「キ、キョン!私の着替えシーンどーだったのよっ!…萌えた?」 キ「あー、もう反則的なまでにかわいかったぞ。で、次はお茶かな。ハルヒ、お茶を入れてくれ。可愛くおしとやかに、なw」 み「命令するのはわたしなのですー」 キ「あぁ、すいません、朝比奈さん。」 ちょっとみくる救済保守 ハルヒがメイド服で朝比奈さんのように温度を測りながらお湯を沸かしている。…音節区切って組み合わせて遊ぶあれみたいに意外な組み合わせだなぁ。 キ「そーだ、朝比奈さんは普段どんなあたりを気をつけてお茶入れてくれてるんです?」 ハ「そーね。みくるちゃん、どのあたりを気をつけるの?」 み「そーですねぇ。涼宮さんは1杯目は一気なのでぬるめに薄めにとか、長門さんは最後のほうまでぬるくならないように熱めにとか…」 ハ「ふんふん」 み「キョンくんや古泉くんはお茶の葉に合わせて温度を調整したりしますねー。」 古「なるほど。何気ないようで奥が深いんですね。」キ「そこまで気を使ってくださっていつもありがとうございます。」 み「いえいえ。あ、涼宮さん、今日はキョンくん渡すときは屈みがちで腕を寄せながら渡してくださいね」 ハ「ちょっと…それはなんか屈辱的ね…キョンにもみくるちゃんにも…(ブツブツ)」 み「涼宮さん!やってくれないと、罰金なのですー!」 ハ「わ、わかったわよ、やればいいんでしょっ!」 古泉が携帯を気にしながらこっちをにらんでるが…この程度はハルヒも機関も甘受してもらったほうがいいよな。 ハ「キョンくん~、お茶ですぅ~」 キ「はっ、ハルヒ~。そこまで忠実にやらなくてもいいぞ?」 み「涼宮さ~ん、もっとこびた感じにしてほしいですー」 あ、朝比奈さん…そろそろ限界だとおもいますよー? ハ「こびた感じ…(キョンだけが相手ならいくらでもしてもいいんだけど他に見てられるとできないわ…)ど、どんな感じにやればいいのよっ」 み「少しかがんで、気持ち下から見上げるように上目遣いで、胸を強調しつつ、おしとやかな雰囲気と表情を崩さずやってみてくださいー。」 み「あ、あと~、舌足らずな感じが出せると最高ですぅ~」 なっ、朝比奈さん…あなた、計算だったんですね…すっかりだまされてました… ハ「…こーかな。キョンくぅ~ん、お茶がぁ入りましたぁ~」 ななななんと!ハルヒが素で萌えキャラ化しているじゃないかっ キ「ハハハハハハハハルヒ…、やややればでできるんじゃないかかぁ」 ハ「そそっそんなことないわよっ」 古「なるほど~。朝比奈さん萌えられテクニックをマスターしたら、涼宮さんは最強って感じですねぇ。」 長「…彼の心拍数が急激に上昇。かなり動揺している。」 古「さすが、朝比奈さんですねぇ」 み「(つ、つい最終手段用テクニックを教えちゃった…次からキョンくんに使えないぃぃ)そ、そんなことないですよぉ。」 ちょっとみくる救済保守 やばかったー。ホンキでやばかった。部室でハルヒを押し倒しそうになった… 朝比奈さんテクニック、恐るべし。 ハ「み、みくるちゃん、お茶が入りましたよ~」 み「す、しゅじゅみやさんありがとうございましゅ~」 長「…普段、朝比奈みくるは涼宮ハルヒにそんなに緊張してお茶を出さない。むしろ、私に出すときのほうg」 キ「な、長門ー。その辺は個人的な相性の問題d」 長「…涼宮ハルヒはともかく、朝比奈みくるには嫌われてるということ?。」 キ「あ…いや、そうじゃなくってだなぁ…」 み「べ、べちゅに嫌ってなんていましぇんー。そんにゃにいうにょにゃらー」 どもってますよ?朝比奈さん。 み「長門しゃん、こっちにくるです!涼宮しゃん!ウイッグとってくだしゃい!」 ハ「ん…これでいい?」 み「それでしゅー」 長門を団長席に座らせて、ウイッグということは髪型でもかえさせるのか? み「長門さんはショートなので私じゃあんまりアレンジできないですけどー、 これをつけてイメージ変えるです!」 それはハルヒの髪色に合わせたセミロングウイッグだった。 長門の髪にあうのだろうか…って、あわせた上に後ろ持ち上げて…ここでポニーテールか!? み「古泉くんの好みの髪型は何でしゅか~?」 古「え…えーと、僕は特に…」 み「じゃぁ、キョンくんと同じということでポニーテールにしましょー」 ハ「なっ!み、みくるちゃん!そ、それだけはだめよっ!!!!!」 み「別にいいんじゃないですかー?」 ハ「だっ、だめよっ。ポニーテールはキョンのためだから、古泉くんも同じとは限らないし…」 古「そうですねぇ…では、ツインテールなんて、どうでしょう?」 み「わかりましたー。ツインテールにしましょー。あ、涼宮さんはちょっとまっててくださいね。次にポニーテールにしてあげますからー!」 ハ「べっ、別にしてほしいわけじゃないんだからっ><」 ちょっとみくる救済保守(なんだか、ずれまくって長くなってますが; やはり、ハルヒ+ポニーテールは最強だしなぁ… 朝比奈さんもその辺わかってるらしい。ハルヒ自身も意識しまくってるし。 み「長門さんも髪を伸ばしてみたらどーですかー?」 長「…あまり長いのは効率が悪い。このぐらいが最適。」 み「そういうのじゃなくて…そうですねぇ…古泉くんはどのぐらいが好みですかぁ?」 古「え…あぁ…朝比奈さんぐらいでしょうか?(森さんもあのぐらいだったなぁ…)」 お?長門が古泉をにらんでる 古「え…あ…で、でも、長門さんぐらいのも好きですねぇ(長門さんは心も読めるのでしょうか…)」 長「いっちゃん、私もメイド服のほうがいい?」 古「(よ…読まれてますね)い、いえ、長門さんは制服のほうがお似合いだと思いますよ?」 長「いっちゃん…私も苗字じゃなくて…」 古「え、あ…ゆきりん」 長「いっちゃん!」 古「ゆきりん!」 見詰め合う長門と古泉…なんだか新鮮な感じ…でもないか。長門はいつも無言で見つめてるしなぁ。 み「わ、わたしもいるんだから、二人だけの空気をつくらないでほしいでしゅー」 古「あ、もうしわけありません」 長「…髪、すこし伸ばすようにしてみる。」 な、長門!?いますぐ伸ばしたりすると問題あるぞ? 長「…だから…いっちゃん、伸びるまで待ってて。」 …そ、そうかー…長門もだいぶわかってきたようだ。 古「それは楽しみですねぇ。なg…ゆきりんの本当のツインテール、いつになりますかねぇ」 長「…形になるのは2ヵ月後。今のようになるには少なくとも半年かかる。」 古「そうですかぁ~。それは…楽しみですねぇ。」 気の長い話である。 み「さ、できましたよぉ~。次は涼宮さんですね~」 ハ「み、みくるちゃん…お、お願いします」 ハルヒが硬くなってる。今日は珍しいことだらけだな。 ハ「キ、キョン!にやけてるんじゃないわよっ!」 脱線転覆中な ちょっとみくる救済保守 み「やっぱり涼宮さんの髪はきれいですね~」 ハ「あ、当たりまえよっ。毎日時間かけて(ブツブツ)」 み「やっぱりみてほしいからですか?」 ハ「べ、別にキョンにみてほしいなんていってないわよっ」 み「…誰もキョンくんなんて言ってませんよ?言ってなかったですよね?」 長「言ってない。」 ハ「……」 み「はい、ポニーテール、できました~。涼宮さん、あともう少しでいい感じの長さになってきましたねー」 キ「おぉ、だいぶそれらしくなったなぁ。さすが、朝比奈さんですね。」 ハ「ど、ど、どうよ?」 キ「ん、あ、あぁ…ハルヒ、似合ってるぞ。」 ハ「あ、ありがと」 み「あ、一つ忘れてたですー」 おもむろにハルヒの胸をもみ始める朝比奈さん。 ハ「み、みくるちゃん、な、何!?」 み「涼宮さんにも唐突に胸をもまれる気分を知ってほしいです~」 ハ「え、あ、あん、わ、あたしはそんなに…あん…激しくしてないわよっ…」 み「そんなこと無いですー。あ、キョンくんも触ってみます?w」 キ「(触りたい…)え、あっ、いや…朝比奈さん、そろそろやめてやってください。」 み「えー、まだ揉み足りないけど…まぁ、キョンくんの忠告じゃ仕方ないですね~。わたし、今日は団長だから従わないとねっ(ウインク)」 ハ「はぁ…はぁ…べ、別に…あたしは…キョンの言うことだから聞いてる…わけじゃ」 キ「まぁいいじゃないか、ハルヒ。お前も少しは朝比奈さんの境遇、わかっただろ?」 ハ「わ、わかったわよ…」 ちょっとみくる救済保守 み「あとは何があったかな~…あ、雑用に命令するとかがありましたね~」 ハ「わ、わかったわよ、みくるちゃん、今までごめんね。で、でも、キョンに命令していいのはあたし個人の問題で団長だからじゃないんだからっ」 キ「ほーう?お前のきめ台詞は「団長命令!」だと思ってたけどなー」 ハ「あ、あれは、あたしと団長という立場とがあいまって初めて…」 み「それはずるいですー。」 ハ「むー…今日だけよっ」 み「じゃあ、行きますねー。」 な、何が来るんだ!?あの朝比奈さんだからあまり無茶は無いだろうが… み「キョンくん!涼宮さんを抱きしめてください。古泉くんも長門さんを抱きしめてね。」 キ・ハ・古「はぁ!?」長「……」 み「みなさんわたしに気を使ってくださるのはありがたいですけどー、やっぱり恋人なんだから仲良くしてくださいなっ」 キ・古「朝比奈さん…」ハルヒ「みくるちゃんっ」長「…いいの?」 長門が本を閉じる み「あ、時間ですねー。では、今日は解散しましょう。ですが、その前に…」 古「なんですか?」 み「今日は団長ですから2つだけ団則を追加させてもらいますね。 『たとえ団長命令でも心の準備時間は与えること』 いつも急なのでちょっと覚悟する時間がほしいのですー。 それと…」 ハ「わ、わかったわ。今度から少し早めに言うようにするわね。10秒でいいわね!」 み「ひょえぇぇぇぇ。それじゃあんまり変わってないですぅ」 ハ「じゃぁ、30秒で!」 み「うぅぅぅ、わかりましたぁ。あともう一つ~ 『たとえ恋人同士でも部室内ではいちゃいちゃしないこと』 やっぱり目の前でいちゃいちゃされて無視されてるのはつらいですぅ」 ハ「き、気をつけるようにするわ。」 長「…わかった。」 み「では、今日は解散しましょうー。あ、涼宮さん着替えですね。脱がしてあげましょうか~?」 ハ「ひ、一人でできるからぁー」 ちょっとみくる救済保守 あれから、朝比奈さんは前にもまして表情が明るくなった。 俺たちもあまり見せびらかすのは良くないと気づいたし、 ハルヒもあまりセクハラしないようになったようだし、 やっぱり、なんだかんだ言っても先輩、なんだなぁ。 あの人にもいい人ができるといいなと俺もハルヒも、もしかしたら長門や古泉も思っている。 ちょっとみくる救済保守 end
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3333.html
俺がハルヒと付き合い始めたころ、どういうわけか、長門と古泉も付き合い始めていた。 そして、いつのころからか朝比奈さんが少し元気がなくなっていたころの話だ。 ハ「最近、みくるちゃんが一人ぼっちになってるみたいね。」 み「一人だけ寂しいですぅ~」 長「…SOS団は男女比2:3。どうしても誰かが余る。」 み「わ、わたしはあまりなんでしゅかぁ~うぅぅ」 ハ「そういってもねぇ。キョンはあたしのものだから仕方ないし…」 長「古泉一樹も私のもの。」 ハ「有希~。いうようになったわねー」 長「…別に。」 ハ「そうね、みくるちゃんだけ一人って言うのも可哀想だし、キョンも古泉くんも1/3ぐらいはみくるちゃんに貸してあげましょう!。有希、かまわない?」 長「あなたがそれでいいなら。かまわない。」 み「(ちょっと納得いかないけど)あ、ありがとーございましすぅ」 ちょっとみくる救済保守 ハ「みくるちゃん!ついでだから、1日団長もやってみる?」 長「…やってみたい。」 ハ「有希…あなたじゃないわよ、みくるちゃんよ」 長「…残念。」 み「え…ぇぇぇぇぇ、涼宮さん、いいんですかー?」 ハ「1日ぐらいたまにはいいわよ。みくるちゃんは団に貢献してくれてるからねー。」 み「わかりました。わ、わたしっがんばりましゅ!」 コンコン ?「はぁぁぃ」 キ「ちわーっす……こんにちは、あさひ…って、ハルヒか」 ハ「こんにちは、キョンくん」 古「こんにちは。おやっ、今日は涼宮さんと朝比奈さんが入れ替わってるんですか?」 ハ「そーよ。日ごろの感謝ってことで、みくるちゃんに1日団長をやってもらうことにしたの!」 み「よろしくおねがいしまーす」 キ「そりゃまた……いいアイデアだな」 ハ「でしょー?たまにはこういうことがあってもいいと思ってたのよー」 キ「そうか…で、ハルヒ。団長の命令は絶対、だったよな。」 ハ「そーよ?それが何か?」 キ「今日は朝比奈さんが団長だったよな。」 ハ「さっきもそういったじゃない!」 キ「で、今日はお前はマスコットキャラ兼副副団長っと。」 ハ「ま、まぁ、そういうことになるわねぇ…何よ?」 キ「なら、お前はメイド服に着替えて、みんなにお茶を入れて、俺の横に座って、胸をじろじろ見られて、たまに団長のセクハラ胸揉みにおとなしく耐えなければならない。」 ハ「なっ」 キ「そうなるわけだな。というわけなので、古泉、廊下に出ようか。朝比奈さ、もとい、団長!この萌えマスコットキャラを強制着替えさせてください。」 み「は、はぁぁい」 ハ「ちょ、ちょっとみくるちゃん!?」 ちょっとみくる救済保守(なんかキョンが黒い?w) み「今日は団長ですので、日ごろ涼宮さんがわたしにしてくれていることをしてあげますねー。」 み「あ、キョンくん、古泉くん、別に廊下に出なくてもいいですよ~w」 み「今日一日だけですから、下着を見られるバージョンもついでにやりますからー!w」 ハ「み、みくるちゃん!?」キ・古「あ、朝比奈さん!?」 み「涼宮さ~ん?どれだけはずかしーですかー?w」 ハ「ちょっと冗談は…」 キ「ハルヒ、そこは「ひょぇぇぇぇぇ~~~~」か、「キョンくん見ないで~」なんじゃないのかぁ?」 ハ「キ、キョンー、あとで覚えてなさいっ。み、みくるちゃんも明日はひどいからねっっっっ」 古「彼は「あとで」で、朝比奈さんは「明日」ですか。涼宮さん、相変わらず仲のよろしいことでw」 ハ「古泉くんまで…」 長「…いっちゃん、『あとで』…?(キョンのほうをみて首をかしげる)」 古「?」 キ「長門、「腰が抜けるまでやってあげるからっ!」っていえばいいと思うぞ?w」 長「…いっちゃん、『あとで』腰が抜けるまでやってあげるからっ!…これでいい?」 古「ちょ…っと、長門さん…あなたも、ほどほどにして置いてください…」 キ「お前だけ楽になろうなんて許さん!w 長門、あとで限界までやってやれ!w」 長「…わかった。」 み「きっ、今日はわたしが団長なのでー、無視しないでほしいですー」 キ・古「あ、すいません、朝比奈さん」 ハ「キ、キョン!私の着替えシーンどーだったのよっ!…萌えた?」 キ「あー、もう反則的なまでにかわいかったぞ。で、次はお茶かな。ハルヒ、お茶を入れてくれ。可愛くおしとやかに、なw」 み「命令するのはわたしなのですー」 キ「あぁ、すいません、朝比奈さん。」 ちょっとみくる救済保守 ハルヒがメイド服で朝比奈さんのように温度を測りながらお湯を沸かしている。…音節区切って組み合わせて遊ぶあれみたいに意外な組み合わせだなぁ。 キ「そーだ、朝比奈さんは普段どんなあたりを気をつけてお茶入れてくれてるんです?」 ハ「そーね。みくるちゃん、どのあたりを気をつけるの?」 み「そーですねぇ。涼宮さんは1杯目は一気なのでぬるめに薄めにとか、長門さんは最後のほうまでぬるくならないように熱めにとか…」 ハ「ふんふん」 み「キョンくんや古泉くんはお茶の葉に合わせて温度を調整したりしますねー。」 古「なるほど。何気ないようで奥が深いんですね。」キ「そこまで気を使ってくださっていつもありがとうございます。」 み「いえいえ。あ、涼宮さん、今日はキョンくん渡すときは屈みがちで腕を寄せながら渡してくださいね」 ハ「ちょっと…それはなんか屈辱的ね…キョンにもみくるちゃんにも…(ブツブツ)」 み「涼宮さん!やってくれないと、罰金なのですー!」 ハ「わ、わかったわよ、やればいいんでしょっ!」 古泉が携帯を気にしながらこっちをにらんでるが…この程度はハルヒも機関も甘受してもらったほうがいいよな。 ハ「キョンくん~、お茶ですぅ~」 キ「はっ、ハルヒ~。そこまで忠実にやらなくてもいいぞ?」 み「涼宮さ~ん、もっとこびた感じにしてほしいですー」 あ、朝比奈さん…そろそろ限界だとおもいますよー? ハ「こびた感じ…(キョンだけが相手ならいくらでもしてもいいんだけど他に見てられるとできないわ…)ど、どんな感じにやればいいのよっ」 み「少しかがんで、気持ち下から見上げるように上目遣いで、胸を強調しつつ、おしとやかな雰囲気と表情を崩さずやってみてくださいー。」 み「あ、あと~、舌足らずな感じが出せると最高ですぅ~」 なっ、朝比奈さん…あなた、計算だったんですね…すっかりだまされてました… ハ「…こーかな。キョンくぅ~ん、お茶がぁ入りましたぁ~」 ななななんと!ハルヒが素で萌えキャラ化しているじゃないかっ キ「ハハハハハハハハルヒ…、やややればでできるんじゃないかかぁ」 ハ「そそっそんなことないわよっ」 古「なるほど~。朝比奈さん萌えられテクニックをマスターしたら、涼宮さんは最強って感じですねぇ。」 長「…彼の心拍数が急激に上昇。かなり動揺している。」 古「さすが、朝比奈さんですねぇ」 み「(つ、つい最終手段用テクニックを教えちゃった…次からキョンくんに使えないぃぃ)そ、そんなことないですよぉ。」 ちょっとみくる救済保守 やばかったー。ホンキでやばかった。部室でハルヒを押し倒しそうになった… 朝比奈さんテクニック、恐るべし。 ハ「み、みくるちゃん、お茶が入りましたよ~」 み「す、しゅじゅみやさんありがとうございましゅ~」 長「…普段、朝比奈みくるは涼宮ハルヒにそんなに緊張してお茶を出さない。むしろ、私に出すときのほうg」 キ「な、長門ー。その辺は個人的な相性の問題d」 長「…涼宮ハルヒはともかく、朝比奈みくるには嫌われてるということ?。」 キ「あ…いや、そうじゃなくってだなぁ…」 み「べ、べちゅに嫌ってなんていましぇんー。そんにゃにいうにょにゃらー」 どもってますよ?朝比奈さん。 み「長門しゃん、こっちにくるです!涼宮しゃん!ウイッグとってくだしゃい!」 ハ「ん…これでいい?」 み「それでしゅー」 長門を団長席に座らせて、ウイッグということは髪型でもかえさせるのか? み「長門さんはショートなので私じゃあんまりアレンジできないですけどー、 これをつけてイメージ変えるです!」 それはハルヒの髪色に合わせたセミロングウイッグだった。 長門の髪にあうのだろうか…って、あわせた上に後ろ持ち上げて…ここでポニーテールか!? み「古泉くんの好みの髪型は何でしゅか~?」 古「え…えーと、僕は特に…」 み「じゃぁ、キョンくんと同じということでポニーテールにしましょー」 ハ「なっ!み、みくるちゃん!そ、それだけはだめよっ!!!!!」 み「別にいいんじゃないですかー?」 ハ「だっ、だめよっ。ポニーテールはキョンのためだから、古泉くんも同じとは限らないし…」 古「そうですねぇ…では、ツインテールなんて、どうでしょう?」 み「わかりましたー。ツインテールにしましょー。あ、涼宮さんはちょっとまっててくださいね。次にポニーテールにしてあげますからー!」 ハ「べっ、別にしてほしいわけじゃないんだからっ><」 ちょっとみくる救済保守(なんだか、ずれまくって長くなってますが; やはり、ハルヒ+ポニーテールは最強だしなぁ… 朝比奈さんもその辺わかってるらしい。ハルヒ自身も意識しまくってるし。 み「長門さんも髪を伸ばしてみたらどーですかー?」 長「…あまり長いのは効率が悪い。このぐらいが最適。」 み「そういうのじゃなくて…そうですねぇ…古泉くんはどのぐらいが好みですかぁ?」 古「え…あぁ…朝比奈さんぐらいでしょうか?(森さんもあのぐらいだったなぁ…)」 お?長門が古泉をにらんでる 古「え…あ…で、でも、長門さんぐらいのも好きですねぇ(長門さんは心も読めるのでしょうか…)」 長「いっちゃん、私もメイド服のほうがいい?」 古「(よ…読まれてますね)い、いえ、長門さんは制服のほうがお似合いだと思いますよ?」 長「いっちゃん…私も苗字じゃなくて…」 古「え、あ…ゆきりん」 長「いっちゃん!」 古「ゆきりん!」 見詰め合う長門と古泉…なんだか新鮮な感じ…でもないか。長門はいつも無言で見つめてるしなぁ。 み「わ、わたしもいるんだから、二人だけの空気をつくらないでほしいでしゅー」 古「あ、もうしわけありません」 長「…髪、すこし伸ばすようにしてみる。」 な、長門!?いますぐ伸ばしたりすると問題あるぞ? 長「…だから…いっちゃん、伸びるまで待ってて。」 …そ、そうかー…長門もだいぶわかってきたようだ。 古「それは楽しみですねぇ。なg…ゆきりんの本当のツインテール、いつになりますかねぇ」 長「…形になるのは2ヵ月後。今のようになるには少なくとも半年かかる。」 古「そうですかぁ~。それは…楽しみですねぇ。」 気の長い話である。 み「さ、できましたよぉ~。次は涼宮さんですね~」 ハ「み、みくるちゃん…お、お願いします」 ハルヒが硬くなってる。今日は珍しいことだらけだな。 ハ「キ、キョン!にやけてるんじゃないわよっ!」 脱線転覆中な ちょっとみくる救済保守 み「やっぱり涼宮さんの髪はきれいですね~」 ハ「あ、当たりまえよっ。毎日時間かけて(ブツブツ)」 み「やっぱりみてほしいからですか?」 ハ「べ、別にキョンにみてほしいなんていってないわよっ」 み「…誰もキョンくんなんて言ってませんよ?言ってなかったですよね?」 長「言ってない。」 ハ「……」 み「はい、ポニーテール、できました~。涼宮さん、あともう少しでいい感じの長さになってきましたねー」 キ「おぉ、だいぶそれらしくなったなぁ。さすが、朝比奈さんですね。」 ハ「ど、ど、どうよ?」 キ「ん、あ、あぁ…ハルヒ、似合ってるぞ。」 ハ「あ、ありがと」 み「あ、一つ忘れてたですー」 おもむろにハルヒの胸をもみ始める朝比奈さん。 ハ「み、みくるちゃん、な、何!?」 み「涼宮さんにも唐突に胸をもまれる気分を知ってほしいです~」 ハ「え、あ、あん、わ、あたしはそんなに…あん…激しくしてないわよっ…」 み「そんなこと無いですー。あ、キョンくんも触ってみます?w」 キ「(触りたい…)え、あっ、いや…朝比奈さん、そろそろやめてやってください。」 み「えー、まだ揉み足りないけど…まぁ、キョンくんの忠告じゃ仕方ないですね~。わたし、今日は団長だから従わないとねっ(ウインク)」 ハ「はぁ…はぁ…べ、別に…あたしは…キョンの言うことだから聞いてる…わけじゃ」 キ「まぁいいじゃないか、ハルヒ。お前も少しは朝比奈さんの境遇、わかっただろ?」 ハ「わ、わかったわよ…」 ちょっとみくる救済保守 み「あとは何があったかな~…あ、雑用に命令するとかがありましたね~」 ハ「わ、わかったわよ、みくるちゃん、今までごめんね。で、でも、キョンに命令していいのはあたし個人の問題で団長だからじゃないんだからっ」 キ「ほーう?お前のきめ台詞は「団長命令!」だと思ってたけどなー」 ハ「あ、あれは、あたしと団長という立場とがあいまって初めて…」 み「それはずるいですー。」 ハ「むー…今日だけよっ」 み「じゃあ、行きますねー。」 な、何が来るんだ!?あの朝比奈さんだからあまり無茶は無いだろうが… み「キョンくん!涼宮さんを抱きしめてください。古泉くんも長門さんを抱きしめてね。」 キ・ハ・古「はぁ!?」長「……」 み「みなさんわたしに気を使ってくださるのはありがたいですけどー、やっぱり恋人なんだから仲良くしてくださいなっ」 キ・古「朝比奈さん…」ハルヒ「みくるちゃんっ」長「…いいの?」 長門が本を閉じる み「あ、時間ですねー。では、今日は解散しましょう。ですが、その前に…」 古「なんですか?」 み「今日は団長ですから2つだけ団則を追加させてもらいますね。 『たとえ団長命令でも心の準備時間は与えること』 いつも急なのでちょっと覚悟する時間がほしいのですー。 それと…」 ハ「わ、わかったわ。今度から少し早めに言うようにするわね。10秒でいいわね!」 み「ひょえぇぇぇぇ。それじゃあんまり変わってないですぅ」 ハ「じゃぁ、30秒で!」 み「うぅぅぅ、わかりましたぁ。あともう一つ~ 『たとえ恋人同士でも部室内ではいちゃいちゃしないこと』 やっぱり目の前でいちゃいちゃされて無視されてるのはつらいですぅ」 ハ「き、気をつけるようにするわ。」 長「…わかった。」 み「では、今日は解散しましょうー。あ、涼宮さん着替えですね。脱がしてあげましょうか~?」 ハ「ひ、一人でできるからぁー」 ちょっとみくる救済保守 あれから、朝比奈さんは前にもまして表情が明るくなった。 俺たちもあまり見せびらかすのは良くないと気づいたし、 ハルヒもあまりセクハラしないようになったようだし、 やっぱり、なんだかんだ言っても先輩、なんだなぁ。 あの人にもいい人ができるといいなと俺もハルヒも、もしかしたら長門や古泉も思っている。 ちょっとみくる救済保守 end
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4871.html
This page was created at 2008.09.28 This page was modified at 2009.02.23 TAGにTIP埋め 【朝比奈みくるの秘密】 (避難所投下時のタイトルは「星に願いを」でしたが、同名のページが存在したため改題しました) 「張り切って観測するわよ! 流星群のピークは明け方近くだから、それまでは新星発見に重点を置きなさい」 「新星発見ともなればSOS団の名は世界中に知れ渡るわ。 世界にSOS団の名を轟かせるのよ!」 「さあ、みくるちゃん! がんばって新星を発見するのよ!」 「はぃぃぃぃ、がんばりますぅ」 新星発見の任を言い渡された朝比奈さんは、望遠鏡のハンドルをくりくりと回して星を探している。 SOS団の名をこれ以上広めたいとは思わないが、新発見の栄誉なら悪名で無いだけましだろうか。 「涼宮さんがあのようにおっしゃっていると、本当に発見するかもしれませんね」 「まさかだろう。 世界中のアマチュア天文家が夜な夜な筒を覗いてるんだ。 未発見の天体なんてそうそうありゃしないさ」 「本当にそう思いますか?確率論が当てはまる方ではないと思いますが」 「あのぅ…… このぼんやり見えるのって星でしょうか?」 マジかよ。 ちょっとご都合主義が過ぎやしないか? 「ホントに見つけたの!? でかしたわみくるちゃん! 名誉一日団長にしてあげる!」 一日団長ねぇ。 おおかた、『目立たなきゃダメよ!』とか言ってバニーコスプレさせたあげく、校門前でビラ配りだな。 なんだ、いつもと同じじゃないか。 朝比奈さんにも予想が付くのか、ひえぇぇぇぇとかわいい悲鳴を上げていらっしゃる。 「まぁまぁ、そう慌てずに。 ちょっと見せて」 天文部 部長氏がやってきて筒を覗きこむと、つづいて部員Aが筒の脇に座り、なにやら数字を読み上げた。 すると部員Bがこれまたなにやら興奮した声で、該当無しです。 と報告した。 「観測を続けてみないと新星か小惑星か彗星なのかわからないけど、新発見の天体には違いないと思うよ」 古泉のやつにひそひそと耳打ちされた。 「さて、これは果たして偶然なんでしょうか?」 俺が知るか。 「発見者には命名権があるけど、どうする? 結構自由に付けられるよ。 『タコヤキ』なんて名前の小惑星もあるくらいだから」 「なら、『朝比奈みくる』でもいいのね。 おめでとう、みくるちゃん! 名前が歴史に刻まれたわよ!」 「ふえぇぇ? れ 歴史にですかぁ? そんなの困りますぅ……」 未来人が過去の時代において名を残す。 というのはどうなんだろう。 甚だしく禁則事項に該当するような気もするが、本気で困ることになるなら朝比奈さん(大)あたりが事前に何か言って来ただろうし、ここは素直に喜んでもいいんだよな。 「いいじゃないですか。 鶴屋さんあたりが知ったら、『みくるはお星様になってしまったにょろ?』くらいのジョークを飛ばしてくれますよ。 きっと」 「あのぅ、本当に、私が決めちゃってもいいんでしょうか?」 部長氏がフォローを入れた。 「まだ第一発見者の確認は取れてないけど、ここにいる人の中では朝比奈さんに命名権があるね」 「そうだ、みくるちゃんの好きな人の名前を付けちゃいましょう! さぁ、みくるちゃん? 正直に吐きなさい! 一人や二人いるでしょう?」 そういってハルヒは、朝比奈さんを後ろから抱きかかえた。 「えっ? やっ! やだっ! 涼宮さん、そこだめえぇっ!」 「ほらほら正直に言わないと、もぉっと凄いことしちゃうわよ?」 「アッーーーー!」 いいかげんにせいっ! ハルヒの脳天にチョップを入れる。 「いったいじゃない! なにすんのよ、キョン!」 「何度も言ってるだろ、朝比奈さんをおもちゃにするんじゃありません!」 「ふーんだ、アンタだって興味あるくせに」 いつものアヒル口でぶーたれるハルヒ。 ふむ。 朝比奈さんの思い人か。 確かに、興味があると言えば無い訳じゃないが…… 考え込んでしまった俺を、ハルヒが興味深そうに見ているのに気づいた。 なんだ? 「べっつにっ」 なんだ? 妙に嬉しそうだが。 「天文台の確認が取れたよ。 やっぱり朝比奈さんが第一発見者だって」 今の騒ぎの中で冷静に電話していたのか。 天文部 部長氏、ひょっとしたら大物かもしれん。 「みくるちゃん、おめでと」 天文部員からも賛辞と拍手が贈られた。 「ありがとうございます、涼宮さん。 みんさんもありがとうございます」 「それじゃあ、その、お言葉に甘えちゃいます」 「名前、決まった?」 「はいっ!」 大きくうなずいて、元気よく応える朝比奈さんは本当に嬉しそうだ。 「名前は……」 みんな、言葉の続きを待っている。 「 ですっ!」 聞こえなかった。 得意そうに叫んだはずの名前は、聞こえなかった。 ただ、口だけが動いていた。 あれは―― 声にならなかった。 そのことに気づいた朝比奈さんはしおれたようにうつむいて 「……あれぇ…… どうしてだろ…… あっそうかぁ…… そうですよね…… ちょっと考えれば…… 馬鹿だぁ……」 不思議そうな、みんなの顔が自分に向いているのに気づいて、慌てて場を取り繕い始めた。 「あはっ! 冗談ですよ、みなさん。 ごめんなさい、見事にすべっちゃいましたね」 いかにも失敗しちゃいましたぁ、と言うように、舌を出してみせる朝比奈さんは、あまりに痛々しかった。 冗談なんかでないことは全員がわかっていた。 けれど、誰も追求しようとはしなかった。 ハルヒは今までに見たこともないほど厳しい顔で、朝比奈さんを見つめていた。 ※※※※※※※※※※※※※※※※ 「まったく、一体どういうことなのよ」 あのあと朝比奈さんは逃げるように帰ってしまい、新発見の興奮も冷め切った観測会を終えて、俺とハルヒは帰り道を歩いている。 ハルヒは追いかけようとしたが、俺が止めた。 おかげでその後はピリピリし通しだったし、古泉には急なバイトが入った。 「あれは洗脳とか、強力な暗示とか、とにかくそういう類の何かだったわ。 声に出せないよう、強制的にストップがかかったのよ」 「みくるちゃんを洗脳するなんて、誰の仕業よ、絶対に許せない。 見つけ出してギッタンギッタンにしてやるわ」 おまえ、よくあの場で噛みつかなかったな。 「天文部の連中がいたからね」 「なぁハルヒ、この件、見なかったことにできないか?」 ハルヒが目を剥いて怒鳴った。 「そんなことできるわけ無いでしょう!? 洗脳だの暗示だの、人格に対する冒涜よ!」 俺は足を止め、ハルヒの肩を掴んで向き合った。 「朝比奈さん自身が受け入れていたら? その上で話せないんだとしたら? 逆に朝比奈さんを苦しめるぞ」 「俺はSOS団の外にいる朝比奈さんのことを何も知らない。 家族のことも、何もだ。 お前はどうだ?」 バツが悪そうに横を向き、不本意そうにつぶやく。 「……あたしも…… 知らないわ……」 「きっと話せない事情があるんだ。 とはいえ、お前もこのまま何もしないってんじゃいられないだろう?」 「そうね。 だって許せないもの。 腹が立つのよ」 はっきりと俺の目をにらんで言い切った、意思にあふれたハルヒの顔。 だが俺はハルヒの意思を挫かないといけない。 「だからな、一度だけ確かめろ。 それで、話せませんごめんなさいされたら、今は諦めろ。 話してくれるまで待つんだ」 ハルヒは無言で横を向いた。 口が見事にアヒルになっている。 やがて向きを変えて歩き出す。 俺もハルヒの肩から手を放し、後をついて歩き始めた。 別れ際、ハルヒは 「いいわ。 なんだか丸め込まれたような気もするけど、キョンの言うとおりにしてあげる」 怒りのオーラを漂わせながら、立ち止まらずに言い残して去っていった。 あのぶんじゃ、古泉に苦労かけそうだな。 ※※※※※※※※※※※※※※※※ 「さぁ、みくるちゃん。 たのしいお着替えの時間ですよ?」 「ひえええぇぇ」 「とっとと脱いだ 脱いだ!!」 「すっ涼宮さっ! 待っ! 自分でっ 自分で脱ぎますからっ! アッーーーーー!」 靴下に至るまで全部剥いて、隅々まで丹念になであげる。 それにしてもきれいな肌してるわね。 それにいつみてもおっきなおっぱい。 ん~~~~~~~~ えいっ! あ~~ やっぱきもちいいわ。 「だめぇっ! もまないでぇっ!」 「ふえぇぇぇぇん」 ひとしきり柔らかい感触を楽しんでから手を止めて、みくるちゃんの耳元でささやく。 「ねぇ、みくるちゃん」 「ふぇ?」 「あたしたちに隠してること、ない?」 「ないですぅ 全部見られちゃってますぅ」 そうじゃなくて 「キョン君に見られるのはいやですぅ」 なんでキョンだけ名指しでだめなのよ。 ってそうじゃなくて! 「洗脳とか、暗示とか、そういうことをされた心当たりはない?」 「えっ?」 みくるちゃんの体がぎくりぎくりと硬く震えた。 あぁ、みくるちゃんは自覚してるんだ。 「どうしてですか? 変です。 いきなりそんな話。 あるはずないじゃないですか、そんなこと」 「とぼけなくていいわ。 あたしが知りたいのは、それがみくるちゃんを不幸にしてないか、どうなのかってことだけ」 驚いて、少しおびえているみくるちゃんの目があたしを見つめている。 「裸じゃ落ち着かないわね。 いいわよ、服着て。 注射針の痕とかもないようだし」 「はい……」 ※※※※※※※※※※※※※※※※ 「星の名前を言おうとして言えなかったでしょ。 あのときのみくるちゃんはすごく悲しそうだった」 「すぐ近くにあたしたちがいるのに、世界にたった一人取り残されたみたいに淋しそうだった」 「あたしはあんなの二度と見たくない。 けど……」 キョンと約束したから 「教えて。 みくるちゃんはそれを解きたいのか、そうじゃないのか」 「みくるちゃんが自由になりたいと思っているなら、あたしは解く方法を絶体に見つけてみせる」 「そうじゃないなら、あたしは今回のことを全部見なかったことにして忘れる。 いつか、みくるちゃんが自分から話してくれる、その時まで」 メイド服を着直したみくるちゃんは、あたしと正面から向き合った。 いつものみくるちゃんとは違う、あどけなさの消えた真剣なまなざしにあたしも緊張する。 「これは、今の私にとって必要なんです。 だから、ごめんなさい」 「そう……」 淋しい。 隠し事をされるのが淋しい。 誰にだって秘密の一つや二つある。 それが当たり前。 わかっているのに、わかっていてもやっぱり淋しい。 はぁ、今の顔は誰にも見せられないわね。 背中を向けると、みくるちゃんにそっと抱きしめられた。 「心配してくれたんですね。 ありがとうございます。 話せなくてごめんなさい」 「さあ? 何のことだかわからないわね。 全部見なかったことにして忘れたばっかりだから」 背中に柔らかい笑みが伝わってくる。 「ひとつ、甘えてもいいですか」 あたしは床に毛布を敷いて、みくるちゃんに膝枕をしている。 みくるちゃんは抱きつくようにあたしの腰に手を回して、あたまを押しつけてくる。 ちょっとくすぐったい。 「とってもあったかいです。 とっても優しくて、愛情が深くて、それを押しつけない強さもあります」 「涼宮さんはきっと、いいお母さんになります。 だから今だけ、ちょっとだけ甘えさせてください」 お母さんだって。 あたしはそんな物になるつもりはないんだけど、それでも照れるわね。 「キョン君は幸せ者ですね」 「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っっ!!??」 「どうしてそこでキョンの名前が出てくるのよ!」 「だって。 ううん、秘密です。 ふふっ」 みくるちゃんはあたしを強く抱きしめてから、勢いよく起き上がった。 「さ、みなさんのお茶を淹れなくちゃ。 二人とも廊下に追い出されて、きっと寒がってます」 みくるちゃんが扉を開けると、キョンと古泉くんが入ってきた。 「ずいぶん長い着替えでしたね。 ってメイド服のままなんですか?」 「私がどんな格好してると期待してましたか?」 「いや、どんなって言われましても」 「よぅハルヒ」 いきなり話しかけられて、あたしは逃げるように団長席のパソコンモニターに顔を隠した。 今はキョンと顔を合わせたく、ない。 みくるちゃんはそんなあたしを見て、くすくすと笑っている。 キョンはそんなあたしたちを見て、安心したようなため息をついていつもの席に落ち着いた。 古泉くんはボードゲームを取り出し、有希は最初からずっと本を読んでいる。 いつもの風景。 いつまでも続いて欲しい、でも必ず終わる、だからこそ大切にしたい。 みくるちゃんとはいつか、大きな別れが来るのかもしれない。 ううん、みくるちゃんだけじゃなく、古泉くんとも、有希とも。 あたしは沈みそうになる心に鞭を入れ、大きく息を吸って立ち上がった。 未来は未来! 今は今! 未来なんて成るようになるわ! 「さあ! みくるちゃんはさっさと星の名前を決める! 決まったら天文部へ遠征よ!」 今をせいいっぱい楽しまなきゃ! fin.